19.打ち上げ_酒の味 ページ44
完璧に思われた国木田、谷崎の作戦は、ナオミの裏切りによりあっさりと敗れた。会議が閉ざされ、各々が事務フロアに入る。夜も深かったために、そのまま帰宅するものも多く、その中にAも含まれると思われた。
『いや〜国木田さんも谷崎君もお疲れ様でした。太宰さんもさすがでしたね』
近所にある探偵社馴染みの居酒屋。国木田さんと谷崎君の打ち上げについていく太宰さんについてきた私は、我が物顔で太宰さんの横に座り炭酸を少量いただいている。国木田さんはそれはもう悔しそうに顔を歪め、お酒も回っているのか、幾分か感情表現がいつもより激しい気がする。
「共犯者に谷崎君を指名するなんて、あまりにも普通過ぎ順当すぎるもの。やるなら単独犯じゃあないと。」
「今回は、ぐぅの音も出ん。」
『太宰さんの細工はいつも佳麗で見惚れます』
「Aちゃんは太宰さんがどうやってボクに“1”の籤を引かせたか判ったの?」
ナオミちゃんが太宰さんの味方となって谷崎君に籤を引かせた。
太宰さんは既に“3”の籤を引いていて、谷崎君をどべにするには“1”を引かせるしかなかった。でも、残り15枚あった籤をすべて“1”にしておかないと、それを100%実現することはできない。
あの状況でそんなことできないはずだし、実際していなかったはず。
マジシャンのように袖に隠してあったのかもしれないし、普通は知らない科学の仕組みを使ったのかもしれない。
『判んない』
なんにしたって、屹度太宰さんは教えてくれない。
「そッかぁ、そうだよね」
やっぱりという風に落胆した谷崎君に、ちょっともやぁっとしたが、仕方ないと思うことにした。私と谷崎君、国木田さんも、答えを求めて日本酒を舐める太宰さんに目を向けた。
「企業秘密。次に私を騙す時までに解明しておくことを勧めるよ」
すまんと谷崎君に謝る国木田さんのしょぼくれた声を右から左に流し、私はまだ太宰さんを見つめていた。
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宮古みなこ(プロフ) - すきです‥!!!太宰さんが、太宰さんが地の文で少しデレてるというか本心を晒してる節があるのが物凄く好きです。。。信者ちゃんめちゃくちゃ可愛くて死ぬほど応援してます。ちゅやには贈り物とかしたのかなとか考えると!かわいいです!これからも応援してます!!! (2021年8月25日 0時) (レス) id: 3762c357ba (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 続きが凄く楽しみです!無理せず頑張って下さい! (2021年8月24日 14時) (レス) id: b8554bb3a6 (このIDを非表示/違反報告)
サヤカ(プロフ) - あやさん» えへ〜そんなぁ((( 構成はずっと妄想してたので、書けて良かったです (2021年6月23日 22時) (レス) id: 560ee3c2e1 (このIDを非表示/違反報告)
サヤカ(プロフ) - 心咲さん» 現実ですよ 番外編ですけど( *´艸`) (2021年6月23日 21時) (レス) id: 560ee3c2e1 (このIDを非表示/違反報告)
サヤカ(プロフ) - メノウさん» 面白い質問ありがとうございました!! ねぇ〜信者ちゃん死んじゃうんですよ^^ 返信遅くなってすみませんでした。 (2021年6月23日 21時) (レス) id: 560ee3c2e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヤカ | 作成日時:2021年5月7日 13時