ちょっとちょっと、太宰さん！？ストップストップ！！【文スト】

こ・ネ・タ ページ29

「これまた豪勢だねぇ。というか、この箱、西洋菓子(ケーキ)だよね？ 真逆とは思うけど、１ホール買ってきたのかい？」

　１人じゃ食べきれないのだけど、という太宰さんに『それでは一緒に食べましょう！』と云いたくなるのを必死にこらえた。

『１ホールは１ホールでも、ミニホールなので、太宰さん１人でも食べきれるはずです！』

「なるほどねぇ。じゃあこの大きな植物はなんだい？」

『サンスベリアという観葉植物です！ お世話があまり必要ないらしく。お花も小ぶりでかわいかったです。』

　店員さんが意味ありげな笑みで、「サンスベリアには“永久” “不滅”という花言葉があって、新婚のお客様がよく買って行かれますよ」と、云っていた。

　残念ながら私と太宰さんは新婚サンではないが、私の太宰さんへの想いは永久不滅なのでその意も込めて贈ったのだ。

「へぇー、乱歩さんの助言かあ。確かに朝からご機嫌な様子だったけれど。 あれ、今年はないのかい？ 手紙」

　思わず泣きそうになったのは許してほしい。
　だってまさか、太宰さんからその話が出るとは思ていなかったから。感極まってしまって。

『勿論今年もあります。こちらです』

　太宰さんに手紙を差し出す。よくあるラブストーリーの、指が触れるアレを期待したが、指先は手紙の離れる感覚だけ残っている。

『わざわざ云って下さったという事は、毎年読んで下さっていたんですか？』

「私が君の手紙を読んでいたと思うのかい？」

　はい！ と云いたいところだが、こればっかりは...

『読んで、いなさそうです』

　太宰さんは、フッと息をもらした。

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