【あむろとおる】*上 ページ49
窓際で外を眺める梓さんはため息をついて休憩している
平日のポアロの店内には僕と梓さんしかいない
「今日は暇ですね」
「雨ですからね」
グラスを拭きながら窓の外を見ると雨が降っている
夕方だというのに真っ黒な外には人一人歩いていない
朝から降りだした雨はいまだに止みそうにない
「そういえば、私の友達が駅前の喫茶店でバイトしてるんですけどそこの店長が安室さんに似てるんです!」
「ホー、確か有名店ですよね」
先月リニューアルオープンしたばかりのその喫茶店は若者から年配の方まで幅広い客層に好まれている
元々、夫婦が経営していた小さな喫茶店だったが二人が他界しその娘が跡を継いだ店
珈琲が美味しいと評判で雑誌などにもよく載っている
「見た目は正反対なんですけど、女性で黒髪で肌が白くて綺麗な方で男性客が多かったです!」
「ポアロは安室さんのおかげで女性客が多いので本当に正反対ですね」と笑う梓さんの話に相槌を打ちながら「どこが僕と似てるんですか?」と質問する
「笑顔が素敵な所や優しい雰囲気とか!友達から聞いた話だと真面目で面倒見もいいみたいでー」
梓さんは僕を見ながら楽しそうに話し出す
それに相槌を打ちながら聞いていると少し口許が緩む。が、すぐにいつもの笑顔を張り付けた
「それに…………たまにする寂しそうな顔とか…」
グラスを拭く手が一瞬止まる
バレないようにグラスを食器棚へ戻し、視線を向ければ戸惑ったように「気のせいだったらすいません」と謝る梓さん
「珈琲飲みますか?」
「あ、ありがとうございます!」
何も無かったようにそう言えば、安心した顔をし梓さんは窓際の席から移動してカウンターに座った
慣れた手つきで珈琲を淹れていく
「安室さんって料理も珈琲を入れるのも上手ですよね!コツとかあるんですか?」
「……彼女が上手だったんです。それを真似てるだけですよ」
人当たりのいい笑顔
丁寧な敬語
穏やかな性格
「料理も彼女から教わりました」
「すいません……辛いこと思い出させてしまって」
「大丈夫ですよ。もう5年以上も前のことですから慣れました」
彼女がいない生活に
安室透は笑いながら答える
今もまだ
脳裏に残る
彼女の笑顔を張り付かせて
彼女のように
「何処にいるかは分かっているんです。ただ、今の僕は会いに行けない」
小さく呟いた言葉は雨音で消された
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憂(プロフ) - 無銘さん» ご指摘ありがとうございます。訂正致しました。 (2017年11月30日 13時) (レス) id: d461347606 (このIDを非表示/違反報告)
無銘 - 公安ホームズについてですが、志保が夢主より年下の場合、その旦那に当たる赤井は夢主の弟にあたります。つまり、降谷からしても赤井は弟になるので、兄と言う表現は間違ってますよー (2017年10月13日 23時) (レス) id: 9e2dbad905 (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - りんさん» りんさんいつもありがとうございます! (2017年8月17日 15時) (レス) id: d461347606 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続き楽しみにしてますやっぱり話が面白い!! (2017年8月17日 15時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - 零音さん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。 (2017年7月30日 5時) (レス) id: d461347606 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:憂 | 作成日時:2017年7月11日 23時