【秘めた恋】＊下 ページ12
「風見、(人1)には言わないでくれ」
休憩に入ろうと仮眠室のドアを開けようとした時
零の声が聞こえて体が固まった
聞いてはいけないと分かっていても
零の声は私の耳に入ってきて動けなくなる
零は幼馴染みで家族で友達で
私の…………
『私もメンバーに入れてください！』
警備局長室へ乗り込むように入り声をあげた
零が黒の組織に潜入捜査を命じられた
その事を知っているのは黒の組織の捜査を任された数人だけ
私はそのメンバーから外された
公安は危険な仕事がほとんどで
その中でも、黒の組織は国際的犯罪組織だ
もし零に何かあったら私は……
零の危険が少しでも減るように出来る限りを尽くしたい
私だって命に関わる危険な仕事も何十件もした
射撃の腕はゼロの中でも上の方で
いざとなったら助けられる
けれど、局長の一言で何も言えなくなった
結局聞き入れてもらえず追い返された
"君がここにいれば彼の仕事に支障が出る"
局長室から出ると風見さんと鉢合わせた
話を聞いてしまったのだろう
ばつが悪そうな顔で私を見て俯いたから
『風見さん、降谷さんにはこの事言わないで』
「……はい」
『降谷さんを頼みます』
仮眠室のソファーに座って零の事を考える
幼馴染みで家族で友達で
私の初恋
私のこの気持ちは誰も知らない
もう知られてはいけない
仮眠室のドアが開き顔をあげる
久しぶりに見た零はやつれていて
私に事情を話さずに言葉を選ぶ
「憂…………頼む。ここを離れてくれ」
きっと局長から"公安から異動させろ"とでも言われたんだろう
辛そうな顔で私を見る零に頷くしか出来なかった
それから数日後
私は極秘で大阪府警に異動する事が決まった
零には局長から私が"退職した"と伝えるつもりらしい
零はもう組織に潜入していて
会う機会なんてなかった
紅葉が舞う秋に
零に
会えないまま
私は東京を離れた
着信を告げるランプが点滅する
あの人を思い出させる青い光
暗い部屋の中で途切れることなく主張する
"降谷 零"
画面に映し出される文字を眺めて
顔を両手で覆う
頬を流れる涙は止まらない
あの人に告げることのできない想いは
私の中で溺れていく
『零…………会いたい』
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憂(プロフ) - 無銘さん» ご指摘ありがとうございます。訂正致しました。 (2017年11月30日 13時) (
レス) id: d461347606 (このIDを非表示/違反報告)
無銘 - 公安ホームズについてですが、志保が夢主より年下の場合、その旦那に当たる赤井は夢主の弟にあたります。つまり、降谷からしても赤井は弟になるので、兄と言う表現は間違ってますよー (2017年10月13日 23時) (レス) id: 9e2dbad905 (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - りんさん» りんさんいつもありがとうございます！ (2017年8月17日 15時) (レス) id: d461347606 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続き楽しみにしてますやっぱり話が面白い!! (2017年8月17日 15時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - 零音さん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。 (2017年7月30日 5時) (レス) id: d461347606 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：憂 | 作成日時：2017年7月11日 23時
