【夏は私の天敵です】＊1 ページ2
公安のオフィスにはキーボードを叩く音だけが響く。
カタカタ
カタカタ
『あついー！』
私、桜井(人1)は夏が嫌いです。
理由は暑いから。
『あついー！』
一昨日まで天国だったこの場所は今では地獄になっている。一昨日エアコンが壊れました。
リモコンで冷房を入れたとたんバンと大きな音をたて動かなくなったエアコン。
この時期は修理会社が引っ張りだこで最短で1週間後の修理。それまでどうしろと？
『あついー！』
「黙って仕事しろ」
『風見センパイがひどいですー！』
「いちいち語尾伸ばすな」
風見センパイも暑さでピリピリしていて、私の独り言に文句をつけてくる。
見てるだけで暑い
こんなに暑いのにスーツのジャケットも脱がずにパソコンと向かい合っている風見センパイは凄いと思う。
真似できないし、したくない
出勤してすぐにジャケットを脱ぎ、ブラウスの袖を捲り第3ボタンまで外した私はもうどうすることも出来ない。
長い髪を両手で分けて首筋を冷やす
『あついー！』
「それ切れば少しは涼しくなるだろ」
『乙女心が分からない男は嫌われますよ』
デェスクに頭を預けて風見センパイに悪態をついていると、頭に冷たいものが乗っかり飛び起きて後ろを向けば零センパイが缶珈琲を持っていた。
今度は私のおでこにくっつけてくる。
「これ飲んでもう少し頑張れ」
『さすが零センパイ！私のこと分かってますね！！』
「また倒れられたら困るからな」
貰った珈琲を飲んで喉を潤すと少しは暑さが和らいだ。
私は毎年一度は熱中症で倒れる。
公安に配属されたばかりの頃、頑張って気を張っていたがやっぱり暑さには勝てずに零センパイの目の前で倒れた。
あれ以来私に会うたびに冷たい飲み物をくれる零センパイ。
すごく嬉しい。
「(人1)、来週出掛けるぞ」
『仕事ですか？プライベートですか？』
「両方だ」
憧れの零センパイからのお誘いに断る理由なんてないので、元気よく頷くと笑われて「後でメールする」と耳元で言われる。
暑さでやられた頭が更に熱くなる。
『……零センパイ』
「ん？」
『頭がくらくらします』
「大丈夫か？」
『……体に力が入りません』
「…熱中症だな」
零センパイは私のおでこに手を当てながら険しい顔で私の名前を何度も呼ぶ。
零センパイの冷たい掌が気持ちいい。
だんだん目の前が暗くなってきて気持ち悪くなる。
だから夏は嫌いなんです。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 91人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
憂(プロフ) - 無銘さん» ご指摘ありがとうございます。訂正致しました。 (2017年11月30日 13時) (
レス) id: d461347606 (このIDを非表示/違反報告)
無銘 - 公安ホームズについてですが、志保が夢主より年下の場合、その旦那に当たる赤井は夢主の弟にあたります。つまり、降谷からしても赤井は弟になるので、兄と言う表現は間違ってますよー (2017年10月13日 23時) (レス) id: 9e2dbad905 (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - りんさん» りんさんいつもありがとうございます！ (2017年8月17日 15時) (レス) id: d461347606 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続き楽しみにしてますやっぱり話が面白い!! (2017年8月17日 15時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - 零音さん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。 (2017年7月30日 5時) (レス) id: d461347606 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：憂 | 作成日時：2017年7月11日 23時
