ドラグーンの憂鬱5

日本人の性。01 ページ27

「――それでね、キャプテンは凄いんだよ！！」

「へぇーそうなのか。医者で船長なんて凄いな……」

アイスを食べて大分気持ちが落ち着いたらしく、色んなことを話してくれるようになった。
自分の事ではないのに、ベポは船長らしいローの話を自慢げにする。本当にローの事が大好きなようだ。まあA自身もお父さんは大好きだし、尊敬してる。流石に海賊船にいるだなんて言ったら怖がられるから言えないけれども。

相槌を打ちながらAがふと前を見ると、緑色のキャスケット帽が映る。衣服は白いつなぎだ。もしかしなくとも彼はベポが言っていた船員のシャチではなかろうか。じっとそちらを凝視しているとキャスケット帽の男が此方を向く。三角形をしたサングラスをかけている。
サングラス越しにキャスケット帽の男と目が合った。

「あ〜〜〜〜！！ベポ！お前どこ行ってたんだよ！」

サングラスにキャスケット帽の男がAの隣にいるベポを指差し声を上げた。響き渡る大声に周囲にいた人々がさっと男を見たが、男はそんな視線なんて気にもせずAとベポの元へと駆け寄る。

「シャチ！俺、見つからなかったら、どうしようかと思ってた！」

「ったくいつの間にかいなくなってたから焦ったぜ……おーい！キャプテン！ペンギン！ベポ見つけたぞ！！」

キャスケット帽の男――シャチを見るなり、ベポは顔を綻ばせた。やはり心細かったのだろう。俺は安堵しきったベポの表情にくすりと笑って二人の様子を半歩離れた場所から眺めた。

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