�� ページ26
「普段はきりやんが持たせてくれてるお守り持ってるんだけどね。あと、あいつらといれば視線が分散するから、あんなことにはならないんだけど」
「……苦労、してきたんだね」
一人で外を歩いて、同じ場所に少し留まるだけであの調子では、気も休まらないだろう。
「お守りは忘れたの？それともなくした？」
「いや、わざと学校に置いてきた」
「なんでまた……」
「なんでだろうね？」
そう言って笑うナカム君は、どこか寂しげに見える。
「Aちゃんに＜
「……それはその……」
「別に俺がマゾとかって訳じゃないからね？」
どちらが言うでもなく、再び連れ立って歩く。
住宅街の合間に、閑散とした公園が現れる。
「この力のお陰で皆が優しくしてくれるから、何かと得だとは思ってる。でも、時々思うんだ。誰も、本当の俺のことを見てないんだなって。歪められた認識で、俺に好意を持ってると信じ込まされてるだけだって」
ナカム君はブランコに腰掛けると、つま先でゆらゆらと揺らす。
「あと、肝心な時に使えないしね」
「え？そうなの？」
「うん」
よく分からないが、所詮は子供騙しということなのだろうか。
確かに、単純に好意を持つ、というだけでは後々拗れそうだ。
その結果が、ファミレスのあの光景なのだろう。
「この力のせいで、他人とまともにコミュニケーションなんて取れなかった。それこそ、あいつらぐらいしかまともにやり取りできるのがいなくてさ」
「じゃあ、高校は一緒になれて良かったね」
立ちっぱなしもなんなので、私も隣のブランコに腰掛けた。
久しぶりなので、軽く漕いで揺れてみる。
「あぁ……確かに、それもそうだね。でも俺はそれ以上に、Aちゃんと会えて、同じ学校に通えて嬉しいよ」
ストレートにそう言われて、照れない人間がいるだろうか。
気恥ずかしさから、私は先ほどより強くブランコを漕ぐ。
「初めて会うのに？」
「俺らは一方的に知ってたから。一年前から」
「一年前に会った？」
「直接は会ってない」
「？」
「その話はまた今度するよ」
はぐらかされてしまったが、まぁいいだろう。
とりあえず、ナカム君の人となりは多少知ることができた。
終わり
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橘(プロフ) - れいさん» コメントありがとうございます！励みになります。 (2022年11月6日 5時) (
レス) id: 0b8a193a96 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - とても面白いです続き楽しみにしてます (2022年11月4日 22時) (レス) @page26 id: 238b034c25 (このIDを非表示/違反報告)
橘(プロフ) - すいみん。さん» コメントありがとうございます！自分なりに意識してる部分なので、そう言って頂けるととても嬉しいです……！なるべく早く更新できるように頑張りますー！ (2021年9月13日 1時) (レス) id: ba43170f7a (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - ｱﾜ…めちゃくちゃ面白いです。詳しく周りの様子や自分の気持ちなどを書かれてるためか、なんかすごい自分がその小説の中にいるのではないか?と思ってしまいます。次の更新待ってます!頑張ってください! (2021年9月12日 23時) (レス) id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
橘(プロフ) - 狛村さん» コメントありがとうございます！励みになります……！！シンプルに面白いと言って頂けるのが本当に嬉しいです。更新頑張りますね！ (2021年9月9日 15時) (レス) id: ba43170f7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：橘 | 作成日時：2021年9月8日 9時
