�� ページ25
なるほど。
でもそれじゃあやっぱり、テンプレ展開は回避できないってこと？
「あぁ、態度や行動に問題がある人に関しては、"個別に処置"するから。もし何かあったら教えてね」
心でも読めるのかナカム君は。
ていうか個別に処置って何？怖い。
一見すると愛嬌のある笑みだが、腹黒さが滲み出ている気がする。
思わず視線を逸らして、それによって気付いた。
…………なんか、周りの女性陣がこぞってナカム君を見ている。
通路を挟んで隣の隣の席の女子高生たちも、少し離れた席のOLのお姉さんたちも、窓側の席の主婦の皆さんも、彼に釘付けになっている。
ナカム君からは見えない、彼の真後ろの席のカップルに至っては、奥の方に座っている彼女さんが食い入るようにこちらを見つめていて怖い。
『あの男の子見て』
『カッコいい』
『どちらかって言うと可愛くない？』
『一緒にいるの彼女？』
『羨ましい』
『彼女普通じゃん』
『ナンパすればいけるんじゃない？』
『…………』
『私声かけようかな』
『私も』
『私も行く』
うっかり耳をすませてしまったら最後、ちょっと熱のこもりすぎた声色でナカム君を値踏みする囁きが洪水の如く押し寄せる。
「……長居しすぎたか」
ボソリ、と呟くナカム君は、暗い表情をしている。
同じく様子のおかしい女性店員が「お水のおかわりはいかがですか？」と聞いてくるのを無視して、ナカム君は伝票を手に取り立ち上がる。
私も荷物を持って慌てて立ち上がると、彼の後をついていく。
コロコロと表情を豊かに変えていたのが嘘みたいに無表情になったナカム君が、会計を済ませると早足でファミレスを後にする。
彼と身長はそこまで変わらないが、思ったより早い歩調に私はやや小走り気味になる。
やがて駅を通り過ぎ、閑静な住宅街に差し掛かった所で、ようやくナカム君が歩みを止めた。
「……Aちゃん、気付いたよね？」
ナカム君は振り返らずに、そう聞いてきた。
「え？あ、まぁ…………ちょっと、教室の時と様子がちがかったから、びっくりしたかな」
だって、教室で女子にキャアキャアされてる様子は微笑ましい学園生活のワンシーンにしか見えなかった。
なのに、先ほどのファミレスの有り様はどうだ。
気が付けば、ストーカー予備軍の集団に囲まれているような気持ちになった。
あと５分あの場に留まってたらどうなったのかと思うと、背筋が寒くなる。
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橘(プロフ) - れいさん» コメントありがとうございます！励みになります。 (2022年11月6日 5時) (
レス) id: 0b8a193a96 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - とても面白いです続き楽しみにしてます (2022年11月4日 22時) (レス) @page26 id: 238b034c25 (このIDを非表示/違反報告)
橘(プロフ) - すいみん。さん» コメントありがとうございます！自分なりに意識してる部分なので、そう言って頂けるととても嬉しいです……！なるべく早く更新できるように頑張りますー！ (2021年9月13日 1時) (レス) id: ba43170f7a (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - ｱﾜ…めちゃくちゃ面白いです。詳しく周りの様子や自分の気持ちなどを書かれてるためか、なんかすごい自分がその小説の中にいるのではないか?と思ってしまいます。次の更新待ってます!頑張ってください! (2021年9月12日 23時) (レス) id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
橘(プロフ) - 狛村さん» コメントありがとうございます！励みになります……！！シンプルに面白いと言って頂けるのが本当に嬉しいです。更新頑張りますね！ (2021年9月9日 15時) (レス) id: ba43170f7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：橘 | 作成日時：2021年9月8日 9時
