�� ページ16
「すまない、お父さんたちからはあまり詳しいことは言えないんだ。正直、こうなるとも思ってなかったから。母さんも父さんも、ある程度仲良くなってから……打ち明けられたからな」
それを聞いて、一応は納得した。
父と母は、彼らの親と既に一定の信頼関係を築いていたから、吸血鬼と人狼であることを明かされても動じなかったのか。
「懐かしいわぁ。ナカム君のお母さんとかはよく貧血起こしてね。私がよく血をあげてたのよ」
吸血鬼が貧血？よく血をあげる？
母の口からは非日常が当たり前のように飛び出してくる。
もしかして、母が浮世離れしてるのはそのような交友関係から来てるのだろうか。
「お父さんは、なんかその……人狼、ならではのエピソードはあった？」
「うん？そうだな……特にこれといって変わったことはなかったが……ああ、そうだな……友人同士がケンカになった時は止めるのが大変だったよ……」
そう呟いた父は、どこか遠い目をしていた。
「まぁ、父さんも殴り合いの喧嘩したことあるけどな」
訂正。
父も十分、非日常を過ごしていたようだ。
「ただな、A。これだけは忘れないでくれないか。吸血鬼や人狼と言っても、彼らは現代ではもう無害な存在だ。ただ、人と少し違うだけで、中身は年相応の子どもだ。異性同士だから、照れもあるんだろう。もちろん、Aがもう関わりたくないというのであればそれで良い。Aの意志が最優先で尊重されることは、彼らの家族との約束なんだ。ただ、せめてこの１年だけ……彼らにチャンスを与えてくれないか。それが彼らの両親からのお願いでもあるんだ」
父のその言葉に、私はバツが悪くなってしまった。
両親に告げ口しておいてなのだが、そこまで私の意思が重要視されると聞かされたら、軽々しく言えなくなる。
こっちは、幼稚園児が『同じクラスの◯◯くんがぶったー』、と親に泣きつくレベルのつもりだったのだが。
それでふと、私が男子のことを何となく苦手なのって、幼稚園生の時に同じクラスの男子に執拗にいじめられたことが原因なのではないか、と思い出したりなどもした。
もちろん、こっちもしっかりやり返してやったのだが。
その時に「本当はAちゃんが好きで、どうして良いか分からずにいじめてしまった」と本人から泣きながら言われた。
仮にも被害者からしたら、知ったことか、と思う。
そんな他愛もない昔のことを思いつつ、私は「わかった、そこまで言うなら」と両親に告げた。
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橘(プロフ) - れいさん» コメントありがとうございます！励みになります。 (2022年11月6日 5時) (
レス) id: 0b8a193a96 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - とても面白いです続き楽しみにしてます (2022年11月4日 22時) (レス) @page26 id: 238b034c25 (このIDを非表示/違反報告)
橘(プロフ) - すいみん。さん» コメントありがとうございます！自分なりに意識してる部分なので、そう言って頂けるととても嬉しいです……！なるべく早く更新できるように頑張りますー！ (2021年9月13日 1時) (レス) id: ba43170f7a (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - ｱﾜ…めちゃくちゃ面白いです。詳しく周りの様子や自分の気持ちなどを書かれてるためか、なんかすごい自分がその小説の中にいるのではないか?と思ってしまいます。次の更新待ってます!頑張ってください! (2021年9月12日 23時) (レス) id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
橘(プロフ) - 狛村さん» コメントありがとうございます！励みになります……！！シンプルに面白いと言って頂けるのが本当に嬉しいです。更新頑張りますね！ (2021年9月9日 15時) (レス) id: ba43170f7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：橘 | 作成日時：2021年9月8日 9時
