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「母さん、やっぱり話すのはまだ早いんじゃないか……？」
おお、いかにも娘を心配する父親のようなセリフ。
でもそう思うなら、お母さんが言う前に止めるべきなのでは？
「でも、入学式のあと皆とランチするのよ！その時にまだ娘に言ってないなんてバレたら怒られちゃう」
ああ、それは言わなかったお母さんが悪い。
てかそれは、いつ頃言うべきだったことなの？
「心配するな。君がそういう子なのは君の友人の方がよく知ってるから」
それは本当にその通りだと思う。
って、そのまま二人の世界に突入しないでほしい。
高校生になる娘がいてもなお新婚のような両親に割って入るように、私は率直な疑問を口にした。
「あの、許婚って。ウチって、そんなお金持ちだったっけ」
裕福かそうでないかと言われたら、前者ではあると思う。
ただ、未成年の頃から婚約者が決められるような、べらぼうな地位を持つレベルの金持ちでないことは確かだ。
「んーとね、許婚っていうか……正確には許婚ではないというか……」
母の返答はイマイチ要領を得ないが、いつものことである。
何故なら、過程を何段も飛ばして、変なところに着地した結論を出すのが十八番だからだ。
登校時間も差し迫ってるため、私は事情を知っているであろう父に話を聞いた。
要約すると、どうやら私には許婚的位置付けの相手が６人いるらしく、そのうち半分が父の古くからの友人、もう半分が母の友人の子らしい。
私と同い年の男の子で、彼らもまた同じ高校に通う、とも教えられた。
それで、おそらく向こうから話しかけてくるかもしれないから驚かないように、と母が慌てて話し出したそうだ。
許婚…………はまぁ、母の誇張だろう。
よくあるやつだ、おたくの息子さん優秀ですねー、よかったらぜひうちの娘に、いえいえとんでもない、的なアレ。
単純に、友達の子供が同い年だから仲良くしてね、ってことだろう。
見知らぬ男子にいきなり話しかけられたら多少は驚くので、それは事前に聞いておいて良かったといえる。
「分かった分かった。とりあえず話しかけられたら適当に相槌打っておけば良いってことね」
「まぁ…………そうだな、うん。本人たちの口から聞いた方が早いだろう」
「？」
父まで、どこか濁した言い方をする。
気にはなったが、流石にそろそろ出ないとまずそうなので、二人に行ってきますと告げて私は家を出た。
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橘(プロフ) - れいさん» コメントありがとうございます！励みになります。 (2022年11月6日 5時) (
レス) id: 0b8a193a96 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - とても面白いです続き楽しみにしてます (2022年11月4日 22時) (レス) @page26 id: 238b034c25 (このIDを非表示/違反報告)
橘(プロフ) - すいみん。さん» コメントありがとうございます！自分なりに意識してる部分なので、そう言って頂けるととても嬉しいです……！なるべく早く更新できるように頑張りますー！ (2021年9月13日 1時) (レス) id: ba43170f7a (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - ｱﾜ…めちゃくちゃ面白いです。詳しく周りの様子や自分の気持ちなどを書かれてるためか、なんかすごい自分がその小説の中にいるのではないか?と思ってしまいます。次の更新待ってます!頑張ってください! (2021年9月12日 23時) (レス) id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
橘(プロフ) - 狛村さん» コメントありがとうございます！励みになります……！！シンプルに面白いと言って頂けるのが本当に嬉しいです。更新頑張りますね！ (2021年9月9日 15時) (レス) id: ba43170f7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：橘 | 作成日時：2021年9月8日 9時
