15話 ページ16
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『…棗が学園を憎んでることに関しては、否定はしない。あいつの問題行動のほとんどの理由がそれだろうしな。
でも、根拠も何もない噂を信じるかどうかは自分で決めな。
…今井もあんまり無闇矢鱈に噂を広めない。いくら今日の棗の行動が癪に触ったからって』
おそらく、蜜柑に対して棗がしたことが少なからず間に触っていたのだろう。
そんな蛍のちょっとした仕返しをやんわりとAは注意した。
蜜柑「……。
ずっと思っとたけど、Aはクラスでどんな感じなん?」
『は?…また急に話変わるな、お前は』
人殺しという単語に、自分はとんでもないことをしたのでは?と戸惑っていたが、
急に、蛍や委員長とも仲がよく、そして棗とも仲がいいという夏河Aは一体どういう人物なのか知りたくなったのだろう。
蜜柑「だって、あんな奴とも仲良くてそんで蛍や委員長とも仲良くて、あの感じわる女もクラスのみんなもあんたの言う事ちゃんと聞いとったし」
飛田「ああ、それはね、Aくんは元々B組の委員長やってたから、みんなAくんのこと信頼してるんだと思うよ。
僕も、この学園に来たばかりの頃はA君が色々教えてくれてすごく頼りにしてたし、今B組にいる人のほとんどがそうなんじゃないかな」
蜜柑「蛍も?」
蛍「ええ」
飛田「蛍ちゃんはAくんとアリスが似てることもあって、特に一緒にいる時間が長かったんじゃないかな」
蜜柑「でも、妙に納得してしまうわーA世話焼きやし」
『そうかー?』
蜜柑「でも、何で今は委員長じゃないん?」
『んん?…あー…今井に譲った』
蜜柑「へ?何で?」
『学級委員になった方が、優等生賞が取れる確率が上がるからな。俺は別に欲しいと思ったこともなかったし、欲しいやつが取った方がいいだろ。』
蜜柑「何で?家に帰りたいって思わへんの?」
飛田「あ…」
蛍「蜜柑、無神経にも程があるわよ」
蜜柑「へ?」
『ああ、別にいいよ。俺自身は何とも思ってないし。
俺、家族いないから。生まれてからずっとここにいる。学園の門の前に捨てられてたんだって。だからまあ、俺にとってはここが俺の家だよ。俺の面倒を見てくれた先生達は親みたいに思ってるし、クラスメイト達は兄弟みたいに勝手に思ってる。』
蜜柑「……」
Aの話に黙り込む蜜柑。
この空気にはもう結構慣れているAは空気を変えようと話題を変えた。
『そろそろ片付けて、出発しようか』
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toyo3633(プロフ) - こんにちは、この小説を楽しく読ませてもらっています。学園アリスの特に男主ものが大好きです。これからも更新お願いします。 (2021年5月22日 18時) (レス) id: 5efbced553 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カワサン | 作成日時:2021年5月10日 2時