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A ) ねぇ
自転車を押している海の隣に
いつものように並んで
一本道に2つの影法師を残す
唯一 、わたしたちが
ここにいる と証明してくれるの
2 ) ん ?
A ) ちょっとお話していこうよ
きみの答えが出るより先に
堤防に腰を掛けた
海の独特なにおいが鼻を刺激する
自転車を止める音が聞こえた
2 ) ハンカチ落とさないようにね
A ) ねえ、もうそれ忘れていいから
中学生の時
持っていたハンカチをうっかり
海の中に落としてしまった事がある
その時も 、海は隣にいてくれた
お気に入りだった
水色の空が描かれたハンカチ
2 ) A 、ここ好きだよね
A ) なんか落ち着くの
2 ) 海 だからかな
A ) そうなのかもしれない
中学生のくせに
子供みたいに
情けない嗚咽を響かせていた私と
中学生のくせに
大人みたいに
何も聞かずそばにいてくれた海
目の前に広がる
大きな波を立てて生きる海
頭上に広がる
大きな雲を描いて生きる空
海と何でもない
普通のお話をして笑って
この瞬間が幸せだと 何度も感じる
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作者名:ゆめ | 作成日時:2017年2月27日 22時