[d!]キミのことが好きで好きでたまらない!! (ページ6)

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ポップな黄色い壁に、童話の中のお姫様が寝るようなキングサイズの天蓋付きベッド、道具のそろった三面鏡付きの化粧台、これまたお姫様が着るような可愛らしいことこの上ないワンピースやドレス達。恐ろしいことにすべて目の前の男によって用意されたものである。しかもすべて色は黄色。私は別に黄色が好きというわけではないんだけれども。なんなら青の方が好き、それ言ったら彼にカッター取り出されたから冗談だといったけど。

不意にずっとぐずぐずと泣いていたシャオロンが顔を上げる。私の目線とシャオロンの目線がパチリと交わった。

「ごめっ、ごめんなさい、でも、あかんってわかってんねん、けど、Aがどっか行ってまうって考えたら、俺、おれ、」

気が狂いそうやねん。

そういったシャオロンの顔は、酷く醜い笑顔だった。
ゾッと背筋に悪寒が走る。気持ち悪い、こんなの、おかしい。
ガタガタと震える腕で自分の体を抱え込む。子ども体温である自分が死体の様に冷たく思えたのは気のせいだろうか。

枷も鎖も鉄格子も狂った笑顔も。
狂気に満ちた部屋の中で私だけがただ一人、正気だった。
大丈夫、私はおかしくない。おかしいのは全て目の前の男なのだ。私は一変たりとも狂ったことなどない。

だから知らない、シャオロンからの歪んだ愛情に口角を上げている自分も、ジョークグッズである偽物の枷をはずさないでいる自分も、鍵のかかっていない鉄格子から逃げ出さない自分も、知らない、知りたくない。

私は決して狂ってなどいないのだから。