[d!]キミのことが好きで好きでたまらない!! (ページ2)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:7,265 hit

→ ページ2

重度のぜんそくで少量の煙でも発作を起こす彼女にこんな大量の煙を吸わせようものなら下手をすれば死んでしまうかもしれない。元から体に毒な煙草なら尚更。でもまぁ、もし死んじゃったらホルマリン漬けにでもしていろんな服着せたりしてもええかもしれんなぁ。

「…ぅ…けほっ…」

そんなことを考えながらも絶えず彼女の口に紫煙を注ぎ込んでいるといつの間にか煙草は殆どなくなっていた。Aちゃんはもう息絶え絶えで一生懸命息を吸おうと必死に浅い呼吸を繰り返していた。顔を青くして苦しむ彼女はどこか加虐心をくすぐるものがある。あーやっべ、これ癖になりそうっすわ。

「Aちゃんはよお薬欲しいっすよね？賢いAちゃんなら何て言ったらええかわかるよな？」
「ぁ……」

あーあ、こりゃはよ薬飲まんとほんまに死んじゃうっすよ。
虚ろな目をしだした彼女の頬を指でぷにぷにと押すとかろうじて目の焦点があった。

「ごめ、ごえん、なさ、おく、すり…ちょうだ…」
「なら何て言うんでした？俺の事なんて呼ぶか教えましたよね？」
「しょ、しょっぴ…おにいちゃ…ごめ、おかえり、なさ…おくすり、おねが…しんじゃ…」
「よういえましたね。えらいえらい。」

一度Aちゃんから離れタンスの一段目から薬の入った瓶を取り出す。瓶の中から錠剤を二粒取り出し、口移しで彼女の口へと運んだ。少しすると薬が効いてきたのか、浅かった彼女の呼吸が元に戻って行く。それから薬の副作用か疲れたからなのかうつらうつらと意識が舟を漕ぎ始め、しまいにはすやすやと規則正しい寝息を立てながら眠ってしまった。
柔らかい頬に指を這わせる。ん、と声をあげてくすぐったそうに身を捩る彼女の可愛さに今までの疲れが一気に吹っ飛ぶのを感じて、自然と口角が上がる。

大事なもんはしまって、大切に大切に愛情をたっぷり注ぐ。当たり前のことやろ？

十六歳になったら結婚しましょうねAちゃん。Aちゃんは行方不明者ってことになっとるから婚姻届けは出せないし結婚式も挙げられませんけど、Aちゃんのかわいい姿を他のやつに見せるわけにはいかないっすから。家ん中で二人っきりで結婚式挙げましょ。ドレスの色はやっぱり紫で、ね？

これからもよろしく。末永く幸せになりましょうね、Aちゃん。