NEW WORLD (ページ45)

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14話ページ45

パンドラタワーがあった所で変身を解き街を眺めている内海さんの隣に降り立った。
私も変身を解いて、その目線を追う。

街ゆく人々は私達に見向きもせず、ただ普通に行き交うだけ。

『本当に2人だけになっちゃったみたいですね』

「そうみたいだな……」

何事も無かったような素振りを見せる人達に、少しだけ寂しくなった。

『そういえば。凄く人間らしい顔してましたよ、内海さん』

私がそう言うと、内海さんはメガネを触り「そうか」と言い放った。
しばらく沈黙が続く。

戦兎達が新世界に来た時はこんな気持ちだったのかなと思っていると内海さんが口を開いた。

「こんなこと、今言わせてもらうことじゃないと思うが…私は君が……」

「A！！」

内海さんが何か言おうとした時、名前を呼ばれて振り返った。

『龍我！戦兎……みんなも！！』

「良かったぁ、無事だったのね！」

紗羽さんが手を握って来て、美空が胸に飛び込んでくる。
状況が呑み込めず目をぱちくりさせた。

『記憶は？ないんじゃないの？』

「記憶？何の話だ？」

『まさか……エボルトのハッタリ！？』

一海のキョトンとした顔を見て、エボルトの苦し紛れの嘘だったことを知る。
私は内海さんの顔を見合わせて、肩の力を抜いた。

どちらかともなく微笑んで、嘘で良かったと心の底から思った。

『あ、内海さん、なんて言おうとしたんですか？』

「いいや、なんでもない」

「おい内海、Aに手ぇ出すんじゃねぇぞ」

『龍我何言ってんの？内海さんは私の、良き相棒ですから。あ、そう言おうとしたんですか？』

「相棒か……悪くないな」

そんなやり取りをしていると、幻さんが「ド天然！」と書かれたTシャツを見せびらかしてきた。

『幻さん、何それ？』

「いいや、お前は知らなくていい。ほら、帰るぞ！」

戦兎に肩を掴まれて私は半強制的に歩き出した。
その間に龍我が入ってきて触んな！と怒って戦兎を後ろに追い払った。

「え、Aちゃん気づいてないし……」

「無自覚って…怖ぇ」

「あれは告られるまで一生気づかねぇタチだぞ」

「災難って言ったらいいのか、良かったと言ったらいいのか……」

戦兎達が私達の後ろでそんな話をしていたことを、私は知らなかった。