2話 ページ19
一海Side
夜、立派な橋の上。
みーたんはにこにこ笑顔で買ったネクタイを抱き締めていた。
みーたんが紙袋の中からキーホルダーのようなものを手に取った。
「ん？おまけかな？いる？」
「えっ？あっ、あはっ…いいの？」
「うん」
「ありがとう！」
「ううん、こっちこそ今日はありがとね」
「いやいや、今日はまだ終わってないから」
「綺麗！」
「むしろこれから隣のホテルで朝まで語り明かす勢いで…」
あれ、みーたんはどこ？
それよりあそこにいるのは三馬鹿！？
三羽ガラスは俺の周りにやってきていきなり紙袋を渡してきた。
「そろそろ帰ろうか？」
「えっ！もう？……みーたん！少しき、気が早いかもしれないけど」
「私に？なんだろ」
俺は三羽ガラスに渡された紙袋をみーたんに渡した。
その中に入っているのは、みーたんなりきりセット(本人用)だ。
「なにこれ」
「俺だけのみーたんでいて欲しい。俺と結婚してください！！」
「はぁ！？なんで私があんたと！？」
「だって俺達付き合ってるんじゃ」
「付き合うって、買い物に付き合ってもらっただけでしょ？お父さんの誕生日プレゼント買いに！」
「えぇ！？」
「ていうか、こんなの二度と着ないし！」
みーたんは紙袋を投げ捨てていなくなってしまった。
三羽ガラスが走ってきて俺の周りに集まる。
「せっかく夜なべして作ったのに…」
「痛てぇ！エボルトの攻撃より痛てぇ！痛てぇ！！」
「旅に出ましょう！心の傷は旅で癒しましょう！」
「カシラは俺たちがいねぇと何も出来ねぇからなぁ、仕方がない、付き合ってあげますよ俺たちが」
そうして、プロローグに至る。
俺達は救命用ボートを手に、未開の地へと船を進めたのだった。
でも、行き当たりばったりの旅はそう簡単にうまくはいかない。
「ここ、どこだ？」
「無人島ですよ、傷心旅行で遭難したんでしょうが」
「ねぇヒロインは？みーたんに振られちゃったし」
「うるせぇ！みーたんがいなくたってなぁ、いなくったってなぁ……俺にはみーたんしかいねぇ！！」
「こんな未練タラタラでもやる時はやる！かもしれない仮面ライダーグリスをどうぞ！」
こんな俺でも、今日は主役。
やってやるしかねぇよな！！
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作者名：Non | 作成日時：2020年8月8日 18時
