1話 ページ18
一海Side
俺はいつものように仕事を早めに済ませて、移動販売車の中で接客をする愛しのみーたんに目を向けていた。
「ありがとうございました〜、ピッコロナシタ!」
あぁ、今日も天使だ。
もしもこんな子が恋人だったら……いや、みーたんはみんなのアイドル!
誰かのものになんかなっちゃいけねぇんだよ!
でも妄想するのもヲタの性じゃないですかぁ。
突然目の前に立って、
「付き合って」
なんて言われたら…。
ん…?
「へっ?」
「だから、付き合って欲しいんだけど」
「えぇー!!!」
これは…温めに温め抜いた名作
「ドルヲタ、推しと付き合うってよ」が解禁される予感!?
なんディスカ、この神展開は!
ダメだ…騙されるな!ふわぁ…これは夢だ。
頬を叩いてその痛みに歓喜する。
夢じゃない!!!
そうか、これは俺の恋が成就するラブストーリー!
だったらみーたんとあんなことやこんなこと、さらにはお子ちゃまには決して見せられない×××なこともしたっていいんですかぁ!?
いいんです!
「ねぇどうなの?」
「ももも、もちろん!喜んで!」
みーたんとの初デート。
絶対にしくじるわけにはいかない。
貧相な格好で行く訳にはいかないと俺はタキシードに身を包み、みーたんを待った。
無礼なことがあってはならないから。
「何その格好?幻徳といいあんたといい、なんでもっと普通の格好できないかな?」
「こんな記念すべき日に、普通の格好してるほうがヤボでしょ」
俺は背中に翼が生えたかのような気分で、はたまたみーたんに近づく輩を追い払う気分でみーたんについていった。
みーたんはネクタイが沢山並んでいるコーナーに向かって緑色のネクタイを手に取った。
「やっぱ緑かな?」
「よく分かってるね、俺の好きな色」
「あんたの好みとかどうでもいいし、はいこっち来て」
みーたんは俺の襟元にネクタイを持ってきて顔を隠した。
「うーん、やっぱ派手かな?」
「なんで顔隠すの?」
みーたんは何度もそうやってネクタイの確認をして、1番気に入ったものを買った。
53人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Non | 作成日時:2020年8月8日 18時