間章ー５ ページ6
だが特段触れられたくない話題という訳でもないらしく、トントンは「友達なあ」と頭を捻った。
「･･････この辺の生まれちゃうから外にも幾らか知っとるやつはおるけど。けど友達って呼べるほど今でも交流のある奴はおらんな」
「･･････そうなんや」
返ってきた答えは、僕が求めていた答えではなかった。
確かに彼に他国の友人がいるとするなら、ゾムのように仕事の合間を縫って会いにいくだろう。仕事熱心だとは言っても、僕らと食事に出掛けたりする程度の時間はあるのだ。けれど確かに僕が知る限りでは、トントンが我々国の人間以外と会っているところを見たことがない。知らないだけという可能性もあるが、幼馴染と呼べるほど深い関係の相手がいるのなら少しくらい耳に入ってきてもおかしくないはずだ。もしかするとトントンだけでなく、ーーグルちゃんとも関係があるかもしれないのだから。
Aちゃんがわざわざあの場で嘘をついたとも思えないし、仮に誤魔化すためにああ言ったのだとしても、彼女らは少なからず何かしらの関係はあるのだ。もしくは、ただの見当違いだったか、だ。
ならば、僕と知り合うよりずっと過去まで遡る必要がありそうだ。
「･･････ここに来る前ってなにしてたんやっけ」
「ここにってのは、大先生と知り合う前ってこと？」
「せやな。まあ組織入る前っちゅーことや」
「そら、普通に学生しとったよ。学生しながら、反政府組織で活動して･･････その後グルさんが立ち上げた組織に入ったっちゅー感じや」
「どこが普通やねん」
「まあ、若い頃は元気やったな。今では考えられんわ」
トントンは乾いた笑みを浮かべる。今でも十分、僕基準では考えられないくらいに働いているのでは、とは思ったが口には出さない。
そういえば彼とは古い付き合いではあるが、知り合う以前のことは詳しくは知らない。･･･学生時代の事をもっと掘り下げてみるか。
「学生の頃の友達とは交流ないん？」
訊ねると、トントンは口元に手を当てるようにして「あー･･･」と思案する。
「･･･ないなあ。っていうかほとんど学校ではグルッペンとつるんでたからな」
「ああ、そうかグルちゃんと学校も一緒やったんやっけ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 626人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
遊麻(プロフ) - たこぱちょさん» コメントありがとうございます。応援本当に励みになります。スローペースではありますが必ず更新致しますので、引き続きよろしくお願い致します。 (2018年10月30日 10時) (
レス) id: 783499c5d1 (このIDを非表示/違反報告)
たこぱちょ(プロフ) - 本当に面白いのでゆっくりで良いので更新頑張ってください！ (2018年9月4日 17時) (レス) id: 6746a77822 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - kanonさん» コメントありがとうございます。想像以上にゾムさんが人気で恐縮です、出番までもう少しお待ちください！亀更新ですが頑張ります！ (2018年8月3日 1時) (レス) id: bbd918f008 (このIDを非表示/違反報告)
kanon - ゾムさんかっこよすぎてちょっと叫びました(笑)更新待ってますね。頑張ってください！ (2018年7月11日 23時) (レス) id: e0a7914592 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - みんさん» 長らく更新していないのにコメントくださってとても嬉しいです。ありがとうございます。亀更新になりますが、お楽しみいただけると幸いです。 (2018年5月24日 17時) (レス) id: 175c4c32e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：遊麻 | 作成日時：2017年12月7日 16時
