３章ー１８ ページ26
外交官ではないひとらんらん樣の好みまでは把握しきれていなかったが、様子見る限り口に合わなかったという事はないだろう。彼もまたオスマン様とは種類が違うが、どうも表情が乏しいのかポーカーフェイスなのか、感情を読み取ることが難しい。先日顔を合わせた時に農産業の話に食いついてはいたがあまり表情が変わらなかったことから推察するに、恐らく前者だろう。
「お菓子も。お恥ずかしながら甘味には目がありませんので」
「光栄です。町で仕入れたものですが、まだ城内にいくつかありますから、気に入ったものを教えていただければご用意します。お帰りの際にでもお渡しいたしますよ」
「そうですね、…折角リドラまで来たのですから、店の方に足を運んでも？」
「……ご案内いたします」
渋々頷くと、オスマン様は満足そうに微笑んだ。どうにも誘導がうまくて、やりにくい。これだから人との駆け引きや読み合い、といったことは苦手なのだ。
そこでようやくオスマン様はティーカップをテーブルに置く。ようやく本題に入るということだろうか。
“案内”が要件なのは分かったが、正直この場で観光名所や施設のプレゼンをしろと言われても上手くやれる自信がない。あまりにも準備不足が過ぎる。そもそも戦場に出ることもあるが主な仕事は執務であり、何度も言うが外交官ではない。他国の外交官をもてなす、というのはまったくもって専門外なのだ。加えて出自はリドラではないし、ある程度自分の行動範囲や城下についての知識はあっても、地方のことはほとんど分からない。
「あまり固くならないでください。あなたとは仕事の話をしに来たわけではありませんから」
無意識に肩を強張らせていたのか、オスマン様は目ざとく指摘する。
「…ですが」
「“友人の友人”でしょう？気楽にどうぞ」
「――！、ッごほ」
オスマン様の発言に、思わず咳き込む。この人は一体何を考えているのか。両隣からの視線を感じるが、わたしはどう誤魔化していいのやら、思案するも言葉見つからず、ただ口をパクパクと開閉させた。
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遊麻(プロフ) - たこぱちょさん» コメントありがとうございます。応援本当に励みになります。スローペースではありますが必ず更新致しますので、引き続きよろしくお願い致します。 (2018年10月30日 10時) (
レス) id: 783499c5d1 (このIDを非表示/違反報告)
たこぱちょ(プロフ) - 本当に面白いのでゆっくりで良いので更新頑張ってください！ (2018年9月4日 17時) (レス) id: 6746a77822 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - kanonさん» コメントありがとうございます。想像以上にゾムさんが人気で恐縮です、出番までもう少しお待ちください！亀更新ですが頑張ります！ (2018年8月3日 1時) (レス) id: bbd918f008 (このIDを非表示/違反報告)
kanon - ゾムさんかっこよすぎてちょっと叫びました(笑)更新待ってますね。頑張ってください！ (2018年7月11日 23時) (レス) id: e0a7914592 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - みんさん» 長らく更新していないのにコメントくださってとても嬉しいです。ありがとうございます。亀更新になりますが、お楽しみいただけると幸いです。 (2018年5月24日 17時) (レス) id: 175c4c32e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊麻 | 作成日時：2017年12月7日 16時
