３章ー３ ページ11
言葉を濁しているとゾムさんは「ふうん」と訝し気な顔をして、やがて何かを考え込むようにする。それからふとこちらに目を向けると、口を開いた。
「俺もパーティー行こかな」
「え、」
「護衛とかなんとか言うたら行けるやろ多分」
「ほ、本当に？」
「ほんまや」
そう言うゾムさんはどことなく楽しそうな様子。あまり興味があるようには思えなかったのだけれど、一体どういう風の吹き回しだろうか。わたしの先ほどの発言を聞いて参加したいと思ってくれたのなら喜ばしい限りなのだけれど。流石にそれはうぬぼれすぎだろうか。
一瞬、そんな簡単に参加できるようになるものかと考えたけれど、実際彼が本当に行くと言えばその通りにになるだろう。わたしも彼もそれくらいの権力は持っている。憂鬱でしかなかったパーティーが、少しだけ楽しみになった。
「まあ見ててみ。……Aも護衛？」
「ううん、わたしは接待。一応これでも一等官だしもてなす側はそれなりに人手が必要ですしね」
「そんなんメイドにやらせたらええやん」
ゾムさんはごろんとベッドに転がる。
「まあそれもそうなんですけど、でもまあある程度は挨拶回りしなきゃ」
「ふーん、めんどくさそう。……そういや普通に出席ってことはドレス着るん？さすがにパーティーで隊服はないやろ？」
「それはね」
勿論、わたしも客人と同じように指定のドレスコードに準ずる正装をするつもりだった。護衛役ならスーツでも問題ないが、今回は招いた側でもあり参加者でもある。色鮮やかなドレスを身にまとった貴婦人たちが集う会場では、隊服はかえって浮いてしまうだろう。それに恐らく当日の男女比は男性の方が多くはずだし、接待されるなら見るからに仕事だと言わんばかりに隊服をカチッと着こなした女よりも着飾った女の方が気分は良いだろう。
「どんなん着るん」
「まだ考えてないです。これから探そうかなって思ってる所で」
「なら、それもうちょっと待ってくれん？」
「え？どういう……」
「まあまあ、楽しみにしててや」
にかりと笑ったゾムさんに、嫌な予感がしたのは気のせいだと思いたい。
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遊麻(プロフ) - たこぱちょさん» コメントありがとうございます。応援本当に励みになります。スローペースではありますが必ず更新致しますので、引き続きよろしくお願い致します。 (2018年10月30日 10時) (
レス) id: 783499c5d1 (このIDを非表示/違反報告)
たこぱちょ(プロフ) - 本当に面白いのでゆっくりで良いので更新頑張ってください！ (2018年9月4日 17時) (レス) id: 6746a77822 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - kanonさん» コメントありがとうございます。想像以上にゾムさんが人気で恐縮です、出番までもう少しお待ちください！亀更新ですが頑張ります！ (2018年8月3日 1時) (レス) id: bbd918f008 (このIDを非表示/違反報告)
kanon - ゾムさんかっこよすぎてちょっと叫びました(笑)更新待ってますね。頑張ってください！ (2018年7月11日 23時) (レス) id: e0a7914592 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - みんさん» 長らく更新していないのにコメントくださってとても嬉しいです。ありがとうございます。亀更新になりますが、お楽しみいただけると幸いです。 (2018年5月24日 17時) (レス) id: 175c4c32e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊麻 | 作成日時：2017年12月7日 16時
