３章ー４ ページ12
◇◇◇
「Aさん、綺麗です」
「･･･どうもありがとう、レクト」
華やかな緑色のパーティドレスを翻し、レクトを連れて連絡通路を進む。向けられた賞賛に、私は内心苦笑いをした。レースのあしらわれた袖を摘まんでじっと見つめてみる。ドレスが自分に似合っているかはよく分からないが、贈り主を連想させる色合いが少し気恥ずかしい。
私宛に差出人不明の手荷物が届いたのは数日前。使用人が怪しい物ではないかと恐る恐る小包を手渡してきたことはまだ記憶に新しい。「処分すべきかと悩んだのですが」と目を伏せる使用人の言葉を、わたしはすぐに理解した。中に入っていたのは煌びやかな装飾がいくつも施された、エメラルドのような鮮やかな緑色のパーティードレス。おまけに豪華なアクセサリーまでしっかり同封されている。基本怪しい手荷物は監査が入るのだけれど、確かにこれでは捨てるわけにもいかない。「心当たりはございますか？」という問いに、わたしは間を置かず頷いた。
「でも珍しいですね、あなたがそういう華やかな衣装を着るのは」
「･･･たまにはいいでしょ？」
「ええ、とてもお似合いです」
「レクトも素敵だよ」
「ありがとうございます」
あまりドレスについて追求されても困ると、彼の装いを褒める。社交辞令と受け取ったのか、レクトは何食わぬ顔で小さく頭を下げた。
話題を逸らす意図があったにしても本心なんだけどな、と隣を歩く部下を見やる。いつもの隊服ではないフォーマルなスーツを着こなした彼は、すらりとした体格もありとても様になっている。首元に飾られた薄い青の蝶ネクタイが可愛らしく、マダムが放っておかないだろう。
「あまり飲まされないようにね」
「大丈夫です。むしろあなたの方が心配です」
「わたしは強いよ」
「･･･知ってます」
「それに、万が一の時の為の護衛でしょ。ないとは思うけど、頼りにしてるからね」
肩を叩けば、レクトは「わっ」と声を上げたあと、「任せてください」としっかりと頷いた。
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遊麻(プロフ) - たこぱちょさん» コメントありがとうございます。応援本当に励みになります。スローペースではありますが必ず更新致しますので、引き続きよろしくお願い致します。 (2018年10月30日 10時) (
レス) id: 783499c5d1 (このIDを非表示/違反報告)
たこぱちょ(プロフ) - 本当に面白いのでゆっくりで良いので更新頑張ってください！ (2018年9月4日 17時) (レス) id: 6746a77822 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - kanonさん» コメントありがとうございます。想像以上にゾムさんが人気で恐縮です、出番までもう少しお待ちください！亀更新ですが頑張ります！ (2018年8月3日 1時) (レス) id: bbd918f008 (このIDを非表示/違反報告)
kanon - ゾムさんかっこよすぎてちょっと叫びました(笑)更新待ってますね。頑張ってください！ (2018年7月11日 23時) (レス) id: e0a7914592 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - みんさん» 長らく更新していないのにコメントくださってとても嬉しいです。ありがとうございます。亀更新になりますが、お楽しみいただけると幸いです。 (2018年5月24日 17時) (レス) id: 175c4c32e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊麻 | 作成日時：2017年12月7日 16時
