間章ー２ ページ36
恭しく一礼するオスマンに、俺はふんと鼻を鳴らす。
彼がこうして俺の元を訪ねてきた理由には検討が付いていた。ティータイムを楽しむには少しばかり時間が早く、どうせこのあと午後からの会議で嫌でも顔を合わせるのだから、話しならそこですればいい。だがわざわざこうして執務室まで足を運んだのは、他の人間には聞かせられない話があるということなのだろう。
そこまで分かればあとは簡単だった。最近オスマンに個人的に頼んだ要件。それは、ここより少し北に進んだところにあるリドラ国の"ある女"に関することだ。
「ーーーで、どうだった」
カップをソーサーに置きフィナンシェを一口齧ってから、テーブルに肘をついて目の前で手を組む。オスマンも同じようにカップを手放すと、詰まらなさそうに口を開いた。
「あんまりにもうじうじしてるから、ちょっと喝入れてきたわ。多分その内動き出すんちゃうかな」
「そう簡単に行くとは思えないが」
ふむ、と一度唸ってから言葉を返せば、オスマンはパチパチと数回瞬きをしたあとソファの背もたれに背中を預けた。それからすぐにそれは何故かと首を傾げた。
「問題はこちらにもあるからな」
「ふうん･･････グルちゃんが迎えに行ったらええのに。なんでせえへんの？」
「はは、それは俺の役目じゃないからな」
オスマンの提案に乾いた笑いを零しながら、俺は脳裏に赤目の男女を思い浮かべる。俺が知り合うよりもずっと前から同じ時を共にしていた、素直じゃない幼馴染たち。目の下に色濃くクマを据えた右腕とも呼べる苦労人が、彼自身の故郷を後にした頃。定期的に寄越される写真に写っていた姿よりも一回り小さく、ぶかぶかの学生服に身を包んだ少女。
「古い友人たちが、もだもだと悩んでいる様を見るのも案外楽しいものだゾ」
「悪い顔してんで、グルちゃん」
「放っておけ」
オスマンはひくりと表情を引き攣らせる。
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遊麻(プロフ) - たこぱちょさん» コメントありがとうございます。応援本当に励みになります。スローペースではありますが必ず更新致しますので、引き続きよろしくお願い致します。 (2018年10月30日 10時) (
レス) id: 783499c5d1 (このIDを非表示/違反報告)
たこぱちょ(プロフ) - 本当に面白いのでゆっくりで良いので更新頑張ってください！ (2018年9月4日 17時) (レス) id: 6746a77822 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - kanonさん» コメントありがとうございます。想像以上にゾムさんが人気で恐縮です、出番までもう少しお待ちください！亀更新ですが頑張ります！ (2018年8月3日 1時) (レス) id: bbd918f008 (このIDを非表示/違反報告)
kanon - ゾムさんかっこよすぎてちょっと叫びました(笑)更新待ってますね。頑張ってください！ (2018年7月11日 23時) (レス) id: e0a7914592 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - みんさん» 長らく更新していないのにコメントくださってとても嬉しいです。ありがとうございます。亀更新になりますが、お楽しみいただけると幸いです。 (2018年5月24日 17時) (レス) id: 175c4c32e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊麻 | 作成日時：2017年12月7日 16時
