３章ー２５ ページ33
「僕な、ずっと前からきみのこと知ってんねん」
すうっと細められる深碧に、わたしは居心地の悪さを感じた。口調は穏やかなのに、そこに含まれる色がやけに刺々しい。責められているようだ、とわたしは感じた。
彼の指す”ずっと前”というのが曖昧で、わたしは言わんとしていることが理解できずにただただ疑問符を浮かべるばかりだった。あえてぼかされているのかもしれない。少なくとも先日パーティーで会うより前から彼はわたしのことを知っていて、そしてまたわたしも彼とは初対面ではないような言い様だ。勿論わたしは外交官としての彼を以前から知っているが、顔を合わせた覚えなど一度もない。だからと言って彼の人違いとも考えにくい。だとしたら一体いつわたしは彼と会っていたというのだろう。分からない。
ぐるぐると思考を巡らせていると、オスマンさんは「ふう」と呆れたようにため息をつく。
「まあ僕の事はええわ。じゃあ次な、」
――我々国の総統閣下の名前って知ってる？と、にこにこと人の良い笑みを浮かべながら問いかけるオスマンさん。依然彼の表情と声色はあべこべで、わたしはなんとなくこの不穏な空気から逃げるようにしばらく視線を彷徨わせた。
質問の答えはYESである。とは言っても、先日シャオロンさんと遊んだ時に彼が零していた"愛称"しかわたしは知らないのだけれど。わたしは頭に思い浮かんだ言葉に、なんとなくネックレスのトップ部分を制服越しに撫ぜた。深い意味はない。
「"グルちゃん"……ってシャオロンさんが」
オスマンさんは一瞬ぴくりと反応したあと、「フルネームは？」と続ける。わたしが静かに首を横に振ると、彼は怪訝そうな顔をした。
そんな顔をされたって、知らないものは知らないのだ。そもそも、我々国の総統はほとんど公の場には顔を出さないことで有名だ。外交官でもないわたしが知らなくても不思議ではないだろう。そんなわたしの思考を読んだかのように、彼は更に続ける。
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遊麻(プロフ) - たこぱちょさん» コメントありがとうございます。応援本当に励みになります。スローペースではありますが必ず更新致しますので、引き続きよろしくお願い致します。 (2018年10月30日 10時) (
レス) id: 783499c5d1 (このIDを非表示/違反報告)
たこぱちょ(プロフ) - 本当に面白いのでゆっくりで良いので更新頑張ってください！ (2018年9月4日 17時) (レス) id: 6746a77822 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - kanonさん» コメントありがとうございます。想像以上にゾムさんが人気で恐縮です、出番までもう少しお待ちください！亀更新ですが頑張ります！ (2018年8月3日 1時) (レス) id: bbd918f008 (このIDを非表示/違反報告)
kanon - ゾムさんかっこよすぎてちょっと叫びました(笑)更新待ってますね。頑張ってください！ (2018年7月11日 23時) (レス) id: e0a7914592 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - みんさん» 長らく更新していないのにコメントくださってとても嬉しいです。ありがとうございます。亀更新になりますが、お楽しみいただけると幸いです。 (2018年5月24日 17時) (レス) id: 175c4c32e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊麻 | 作成日時：2017年12月7日 16時
