１章ー１１ ページ11
よく、生きて帰って来られたものだ。腕にはそれなりに自信があったが、我々国で幹部と言えば実質総統直下にいる人間。リドラとはそもそも組織構成自体が異なるが、比較するとすれば特等かそれ以上と言っていいだろう。対して一等官なんて更に二つも下の等級であり、彼らの足元にも及ばない。ますます部下を連れて行かなくて良かったと、わたしは安堵の息を吐いた。
「ありがとう。仕事が早くて助かるよ」
「いえ、情報が集められたのは先輩が足止めしてくださったお陰です」
「…根に持つね」
「いいえ、俺の力不足ですから」
「あなたは十分働いてくれたよ。今回のことは、相手を力を侮ったわたしの不手際」
視察に出て早々に敵兵と交戦する羽目になったのは大きな失態だったが、それでも手ぶらで帰らずに済んだのは不幸中の幸いだった。案の定、領土争いは我々国の勝利の終わり、近い内に領土の割譲が行われるだろう。そうなるといよいよ戦争も現実味を帯びてきて、本当に万が一に備えなければならなくなってくる。ほんの些細な情報でも、ないよりはあったほうがいい。
「名簿ですが、他に加筆することがあればお願いします」
「わかった。提出もわたしのほうでしておくから、後は任せてくれていいよ」
「はい。ではよろしくお願いします」
レクトは一礼して、部屋を去っていった。扉が閉められた後、わたしは再び手元の名簿へと視線を落とした。
簡単に目を通すが、やはりわたしが交戦したゾムのページはどこにも見当たらなかった。部下たちが情報収集にあたっているあいだ彼は戦場にはいなかったのだから当然かもしれないが、新たに項目を追加する必要がありそうだ。わたしは予備として付けられていた空白の用紙をデスクに広げた。参考までにシャオロンのページも並べると、立て掛けられたペンを手に取る。
しかし、一体なにから書き始めればいいのだろう。情報と言っても、顔写真を撮影したわけでもないし、彼が我々国でどういった役を担っているのかすら把握していない。知っているのは本名かどうかも怪しい名前と、戦い方くらいのもの。細かな情報を集めるのは情報局の仕事ではあるが、果たしてわたしの得た情報だけで足取りを掴むことは出来るのだろうか。
用紙を眺めながら思案していると、わたしはふと人の気配を感じて視線を上げる。そして自身のデスクにかかる不自然な影に、身体を強張らせた。
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aaaa(プロフ) - 遊麻さん» そうなんですね！焦らず、ゆっくり更新でいいので素敵な文章待ってます！ (2019年3月14日 16時) (
レス) id: 13526f236d (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - aaaaさん» こんにちは、コメントありがとうございます。執筆再開にあたって現在過去の文章を修正しているところでございます。応援とても励みになります。一刻も早く続きを執筆できるよう頑張りますのでよろしく願いいたします。 (2019年3月14日 9時) (レス) id: 196a2627e3 (このIDを非表示/違反報告)
aaaa(プロフ) - コメント失礼します。通知が来て、更新は停止しておりますが、戻ってくるの待ってます。続きがすごい楽しみです。これからも頑張ってください！ (2019年3月13日 11時) (レス) id: 81c6a91539 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - 氷弥さん» 初めまして。ご指摘ありがとうございます。今の今まで気付かなかったのもお恥ずかしい話なのですが、完全に誤字ですね。修正させていただきます。これからもよろしくお願い致します！ (2018年10月31日 2時) (レス) id: bbd918f008 (このIDを非表示/違反報告)
氷弥(プロフ) - はじめまして！楽しく拝読させて頂いております！質問なのですが、1章-2の諺は意図的に言い方を変えているのですか？少し気になって質問してしまいました！意図的でしたら読解力不足で申し訳ないです (2018年10月10日 7時) (レス) id: 11d3565659 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊麻 | 作成日時：2017年11月15日 14時
