第四十六話 すれ違い (その三) ページ49
静弥side
Aを見つけるなりいきなり泣かれるとは…参ったな。
メッセージは既読になったはいいが、一向に返信の気配がない。
静弥「そろそろ何があったのか話してくれてもいいんじゃない？それとも、僕じゃ話し相手にならない？」
『・・・ううん』
静弥「なら、何で泣いているの？」
『・・・居場所が・・・なくなったから』
静弥「・・・どういう意味？」
『・・・』
静弥「…取り敢えず、僕の家においで。事情が事情だから、両親も了承してくれるよ」
『・・・うん』
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
静弥「・・・というわけで、放っておくわけにもいかないから、今日は家に泊めてもいいかな？」
静弥母「もちろんよ！…さ、あがってあがって〜」
『…突然すみません。お邪魔します』
静弥「A、一旦僕の部屋に行って話を聞きたい。いいかい？」
『・・・うん』
僕はAから事情を聞いた。僕のメッセージを無視しているあたり、もうAを迎えに来るつもりは無いのだろう。
静弥「愁は真面目だし、色恋には無関心だと思っていたから、てっきり誰にも靡かないと思っていたが…愁も所詮は男というわけだ。・・・災難だったね」
『・・・私、ずっと愁に我慢させてた。私との婚約が無ければ、今頃愁は幸せだったかもしれない。私の家の事情に、愁を巻き込んだ…』
正直、信じられない。本命の相手がいることもそうだが、それを家のきまりに反してまで交際をするなんて…。中等部ではずっとAしか見ていなかったように思ったんだけど…。
それに、朔晦さんはずっとAを応援していた。それは、一緒に応援しようと約束した僕が一番わかっている。一体どうなっているんだ…？
静弥「A。話してくれてありがとう。でも、まだ結論付けるには情報が足りない。愁と朔晦さんと、きちんと話すべきだ。本当のことを。そしてこれからの事を」
『もういい。正直、まだ心の整理ができてないの。昨日も一睡もできなくて…ちゃんと考えなきゃって思ってるのに、何も考えられない』
静弥「・・・昨日から寝ていないなら、一度寝たらどうかな？」
『・・・でも』
静弥「夕飯ができたら起こすから、横になるだけでも。僕のベッドを使って」
『…じゃあ、お言葉に甘えて』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 151人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ｉ | 作成日時：2023年3月21日 22時
