不釣愛 [藤原愁] (ページ48)

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第四十五話　すれ違い (その二) ページ48

愁side

望月「高槻ちゃん！！？」

愁/詩音「！？……えっ」

A！？どうして・・・

望月「藤原君・・・詩音、どういうことだ？」

詩音「どういうって、何もないよ！なんでAがここに！？」

望月「俺がお前を探してたから、一緒に来てもらおうと思っただけだ！話ってもしかして…」

詩音「だい兄のこと。Aが昨日婚約の事もお姉様の事も全部教えてもらったって言うから、私達も本当のことを言わないと、って」

愁「もしかして、今の会話・・・」

望月「聞こえた部分だけだと、お前らが高槻ちゃんに内緒で付き合ってる、なんて勘違いするには十分だったよ。それに、最後の言葉は・・・」

愁「誤解を解かないと・・・！」

望月「藤原！・・・俺たちもいくよ！」

詩音「わ、わかった！」

愁「剣城先輩！」

剣城「藤原くん？どうかしたの？」

愁「Aを見ませんでしたか？」

剣城「見てないよ？そんなに慌てて…何かあった？」

愁「いえ、見ていないならいいんです。失礼します」

何処へ行ったんだ・・・

プルルルル・・・

愁「朔晦！見つかったか？」

詩音『クラスメイトが、校門を走って出ていくAを見たって！』

愁「ありがとう」

ならきっと、実家かもしれない…

電話をかけてみたが、Aは帰っていないそうだ。もし帰ったら連絡を貰えるよう頼み、急いで校門を出た。

いつぶりだろう・・・俺がこんなに焦っているのは。

暫く探してもAが見つかることはなかった。
せめて、湊と静弥にも見かけたら連絡を貰えるように言おう。
たしか、この近くが静弥の・・・

愁「公園・・・・・・！」

そこで見た光景は、目を疑いたくなるものだった。

Aが、静弥に抱き着いている。

そうか。真っ先に静弥のもとへ行ったということは、つまり＿＿＿＿＿＿

＿＿＿Aは両親と俺の呪縛から解放されたかったのだ。

好きでもない男と婚約を結んでいるが故に、本当に好きな男との交際を一度諦めさせた。そして、その呪縛は両親のエゴがきっかけで、俺も別にAの許婚になりたかったわけではないと誤解ではあるが知って、漸く解放されたのだ。
何方にせよ。今誤解を解いたところで、再びAを縛り付けることになるだけだ。

誤解は解きたいが、Aが本命の相手と幸せになれるなら＿＿＿悪役にだってなる。