不釣愛 [藤原愁] (ページ47)

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第四十四話　すれ違い (その一) ページ47

Aside

翌放課後

『失礼しました』

まさか諸テストに集中できず、補習になるとは…
結局一睡もできなかったから、今日はずっと上の空だった。

望月「あれ、高槻ちゃん？どうしたの？」

『あ、も・・・先輩。こんにちは。ちょっと補習を…』

望月「え！？あの高槻ちゃんが？意外だねぇ～」

『あははは・・・ところで先輩はどうしてここに？』

望月「あぁ、詩音に話があってね。教室にいるかな？」

『いると思いますよ』

教室に近づくと、ドアについた窓から詩音の姿が見えた。

？「＿＿＿＿＿＿」

誰かの声がした。誰だろう…？

愁「やはり言うべきだ」

愁の声だ。

詩音「でもこの事をAが知ったら、きっと傷つく」

私が傷つく…？一体何の話だ…

愁「なら最初から秘密にしなければ良かったじゃないか」

詩音「絶交されるのが怖かったの！」

愁「でもこれ以上は隠し通せない」

詩音「でも・・・」

愁「俺は今日言う心算だ。＿＿＿＿＿＿許嫁になんてなりたくなかった、と」

『え・・・』

望月「…これは」

『・・・・・・！！』

望月「高槻ちゃん！！？」

そうか。そういうことだったのか。
私の悪い予感は当たったんだ。愁はずっと、詩音のことが…！！

どうして？詩音。応援してるって言ってたじゃない。
あれはどういう意味だったの？

急いで校門を出て、訳も分からず走った。
兎に角誰も追ってこないように、ひたすら走った。

何処へ行こう？
藤原家へ帰るなんて論外だ。
なら実家？・・・いや、あそこにいるとまたいろいろと考えてしまう。

＿＿＿＿＿＿そうだ。あの公園なら・・・

はぁはぁはぁ・・・

『ここなら、落ち着いて休める…』

これからどうしようかな・・・
やっぱり、実家へ帰って婚約を取り消して欲しいと言うしかないのかな…
でも、そうしたら…愁と仲良くなんてできないな・・・

私の居場所も味方も、もう＿＿＿＿＿＿

静弥「…A？」

『！』

静弥「如何したの？こんなところで…」

『静弥・・・！！！』

そうか、此処は静弥の家の近くだったのか。
知り合いに、しかも一番仲の良い静弥にあって、なんだか涙が出てきた。

静弥「ちょっ…！本当にどうしたの？！」