不釣愛 [藤原愁] (ページ45)

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第四十二話　両親の思いページ45

Aside

父「だいぶ話は省略したが、これが花梨の死の真相だ」

そんな・・・姉の死の真相がそんなに残酷なものだったとは。

『・・・』

母「隠していてごめんなさい。でも、当時のAにはあまりにショックな内容だったから、16歳になった時にしようと決めていたの」

『…それでは、愁に話したと言うのは一体』

父「あぁ。この話には続きがある。花梨の事を知って、二人で相談した結果。交流のある名家、藤原家の長男である愁君なら、Aを気づ付けることなく幸せにしてくれると思ったのだ。昔から仲も良かった上に、将来も安心して任せられるからな。正直、親のエゴで決めるのは酷だったが、花梨のように我慢させるのだけは勘弁ならなかった」

我慢させたくなかった・・・？

母「実際愁君とは上手くやっているのだし、これでよかったと思っているのだけれど…」

私だって我慢している。

好きな愁と結ばれるのは嬉しいと内心思っていた。が、愁の気持ちを、私の家の都合で蔑ろにして勝手に婚約するのは間違っている・・・！！

私だって、姉と同じようにならなければいけないと思って、いろんなことを我慢してきた。それを両親が望んでいると感じたからだ。

本当は愁と恋人になりたかった。許嫁ではない。ついこの前も、私の将来なんて関係無いかのように藤原家への引っ越しが決定した。高校の先は？私も将来の夢くらいあった。でも、愁と一緒になれるなら、と自分の気持ちや両親の作った状況を利用して、言い訳にして我慢した。

私も利用しておいて酷いが、こんなことなら許婚になりたくなかった。
こんな両親のエゴによる身勝手な理由で婚約が決定していたなんて・・・

＿＿＿＿でも、こんなことを今両親に言ったら、私はどう思われるのだろう？
折角私の事を思って愁を選んだのに、あんなに仲が良くて素敵な人なのだから文句を言うなと思われてもおかしくはない。
それに、もしこんなことを言って愁との婚約が無くなって、愁が違う人と付き合ったりでもしたら・・・私は一人ぼっちになるのかな？

『…少し心の整理をしたいので、部屋に戻ります。』

時刻は20時を回っていた。