不釣愛 [藤原愁] (ページ34)

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第三十一話　県大会予選(二日目)　動揺ページ34

愁「…A？」

『愁！どうしたの？』

愁「もう直ぐ俺たちの出番だから声を掛けようと思って」

『そっか、もうそんな時間か…私も行かなきゃ』

2人で会場へと足を運ぶ。

愁「…深呼吸をして、弓と矢に自分の全神経を集める。そして的と向き合い、矢を放つ」

『…え？』

愁「Aがいつも言っていることだ。それを意識していれば、残念な結果にはならないよ」

『さっきの会話聞いてたの！？』

愁の前へ行き、向かい合いながら歩く。

愁「まぁね。それより、前を向かないと危険だ。また昨日みたいに転んでしまうよ」

『大丈夫！…団体戦、頑張って！！』

愁「勿論、Aもね」

その時、後ろ向きに歩いていた身体がいきなり背中側に傾いた。反射的に目を瞑る。

『っ！！！？』
(あ、言わんこっちゃない！！＿＿＿)←

＿＿＿＿＿＿＿その直後、私の腰を何かが支えたおかげで、私は地面に体を打ち付けることは無かった。

恐る恐る眼を開くと、目の前に紫色の瞳があった。

愁「おっと…だから言っただろう？前を向かないと危ないって」

何が起きたのかわからなかった。何で愁の顔がこんなに近くに？

…あぁ、腰を支えてくれているのは愁の腕か。成程、私は段差に躓いて、そのまま後ろ向きに倒れたのだ。それを、愁が支えてくれている。

段々冷静になって来た。

『＿＿＿＿＿＿＿っ!!？///』

(って！！冷静に考えてこの距離はアウトだーーー！！！！///)

愁「今度は段差か…全く、Aは昔から危なっかしい」

『///…支えてくれて、ありがとう///』

昨日と違って今は愁の顔があまりにも近すぎた。幸いにも周りには誰もいなさそうなので安心した。

静弥「・・・二人共、何をしているんだい？」

湊「愁とA！？」

前言撤回。知り合いがいました。そして今の私たちの体制は、愁が私の腰に腕を回し、今にもキス寸前です。

『ああああ、あのこれはその///…っ!!』

勢い余って愁を突き飛ばしてしまった
(何て言えばいいの！？？？？？)

愁「おっと…2人こそ、どうしてここに？」

静弥「少し頭を冷やそうと思って。僕たちもまだ、県大会出場を諦めたわけでは無いからね」

愁「そうか。では、俺たちはこれで」

静弥「Aも、二回戦頑張って」

頭が回らなくなった私は、その場で頷くことしかできなかった。

(こんなんで二回戦大丈夫かな…？)