不釣愛 [藤原愁] (ページ29)

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第二十六話　心臓を射抜きたい人ページ29

愁side

本村「藤原君はそのままで問題ないどころか、僕も見習いたいくらいです。中等部から弓道を始めたんですよね？」

愁「いいえ、小学5年生からです。県立武道館で弓道を見て一目ぼれして。でも、弓道教室には小学生は参加できないということで、父にお願いしてもらって西園寺先生に個別指導を受けていました。師匠が二人いるのは良くないということで、指導を受けていたのは3年ほどでしたが」

俺とは別にもう一人、父や他の人には内緒で西園寺先生の下で指導を受けていた少年がいた。それが、鳴宮湊だ。
しかし、湊は小学6年生のある時からぱったりと稽古に来なくなった。そして再開した時のあの口惜しさ。
この俺を焦らすなど…湊、君は一体何者なんだ？

＿＿＿＿＿＿＿弓の神に愛された、もう一人の男。

本村「どうりで、君の射には気品があるわけだ。藤原君が上手な理由はそこにあったんですね」

俺が上手な理由＿＿＿＿＿＿＿それは西園寺先生の指導だけではない。

愁「いえ、射を磨く最も大きな理由は＿＿＿＿＿＿＿心臓を射抜きたい人がいることかもしれません」

ヒューと千と万が口笛を吹く

千「なんか意味深～。それって、そんだけ惚れてる人がいるってこと？」

万「もしかして、いつも一緒にいる高槻さん？？」

佐瀬「高槻？誰だ？」

本村「1年女子で唯一選抜メンバーに選ばれていた子ですよ」

佐瀬「あぁ！あの子！え、そうなのか藤原！？」

愁「＿＿＿＿＿＿＿さあ、どうでしょう」

俺は不敵に笑った。