不釣愛 [藤原愁] (ページ19)

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第十七話　帰り道ページ19

Aside

あれから少し詩音と話して別れた。愁に連絡を入れ、一番下の下駄箱から靴を取り出すために一旦しゃがむ。

詩音にああ言ったはいいものの・・・いざ考えようとするとまた悪い癖が出そう・・・

『はぁ～』

愁「溜息なんて珍しいね」

『うわぁ！？・・・愁！』

いつの間に背後に！？てゆうか連絡してからの速さ異常じゃない！？

愁「おっと、驚かせてしまったかな？」

はい←
心臓に悪いからいきなり話かけないで欲しい・・・

『大丈夫！・・・そういえば、愁のクラスはは委員会の話出てる？』

愁「出ているよ。Aはまた図書委員会に立候補したのかい？」

『勿論！誰も立候補しなかったから直ぐ決まったよ！』

私は小学4年生のときから6年間、ずっと図書員会を務めてきた。本が大好きで、図書室はとても落ち着くからだ。

愁「そうか。俺もそうしたかったのだけれど、既に立候補者がいたから諦めたんだ」

『そうだったんだ・・・結局どの委員会になったの？』

愁「学級委員の書記だよ。先生にどうかと言われてね」

『そっか。愁なら学級委員長かと思ってた』

愁「あまり目立ちたくはないかな」

『昨日の入学式で代表の言葉やってからかなり噂になってるよ？あのかっこいい生徒は誰だ？まるで王子様！貴族みたい！って』

愁「そうか。そんな低俗な噂に興味は無いな」

『私だって聞きたくないよ。みんな愁の事何も知らないで、見た目だけで決めつけるんだから…』

愁「確かにAはいつも俺の事を貴公子とは呼ばないよね。どうして？」

『だって、愁は愁だもん。貴公子って言いたくなるのは愁を知らない証拠！』

愁「ふふ…Aは本当に俺の事をよく見てくれている…やはり幼馴染は伊達じゃない、か」

『…そう！愁のこと、こんなに小さい時から知ってるんだから！』

そう言って指をピンと伸ばした手を自分の膝丈に合わせる。

愁「俺が小さいってことはAもだろ？幼い頃は同じくらいの目線だったじゃないか」

『まぁ・・・たしかに』

そんな他愛もない話をしているうちに藤原家へ着いた。制服から私服へ着替えて夕食をいただく。藤原家ではいつも和食で、とても美味しい。

明日から部活動も始まる・・・楽しみだな。