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桃side
家に着いたらまずは暖房を入れて。
他人の家が不思議なのか、キョロキョロするこの子を洗面所へ連れて行き、手を洗わせる。
桃「ここで手洗ってな」
寒いやろうから、お湯にしてから手を洗わせようと思ったのに。
桃「はい、手出して。暖かいと思う」
赤「やっ!やだぁ…」
お湯に触れた途端、またさっきみたいに怯えだして。
桃「ごめんな?何が嫌やった?」
赤「あつい、、いや…」
桃「え、じゃあ水で洗うか…?」
水に変えたら、普通に手を洗って。
疑問は解けないままリビングへと通し、ソファへ座らせる。
赤「何このおいす!」
桃「ソファっていうんやで」
赤「ふかふかやぁ」
そこまで物珍しいものでもないんやけどな。この子、普通の生活をしてなかったんやろうか。
桃「僕、お名前は?」
赤「だいき、ごさい」
桃「だいきくんね。上の名前は?」
赤「…うえ?だいき!」
苗字を知らんのか…探す手当が無いなぁ。
赤「おにいさんは?」
桃「お兄さんは、のんちゃん」
赤「のんちゃん!おなかすいた」
桃「あぁこんな時間か。なんか食べようか」
気付けば20時を超えていた。
だいきくんをソファに座らせたまま、キッチンへ。
冷蔵庫を開けたら、まぁそんなに材料はない。
パッと見て、オムライスくらいなら作れるかな。
桃「だいきくん、オムライス食べれる?」
赤「オムライス好き!」
桃「じゃあ作るから待っててな」
元気よく返事してくれるし、問題は無いかな。
赤「わぁ!」
ガシャン…!!
桃「だいきくん?!」
何かが割れた音がして向かうと、高さのある棚から倒れて粉々になっている写真立てと、泣いているだいきくん。
神山さんが俺が入社した時にくれたガラス製の写真立て。その中には、その時に撮った俺と神山さんの写真が入っていた。
大切な頂き物を割られて、多少の怒りと。
桃「だいきくん怪我ない?」
赤「うんっ、ない…」
だいきくんに怪我がなくてほっとした安心と。
色々な感情がごちゃごちゃになったけど、とりあえず破片を掃除しよう。そう思って振り返ると、相当落ち込んでるだいきくんが。
桃「どうしたん、大丈夫やで?」
赤「のんちゃん、怒ってる…」
多分人の感情に敏感なんやろうなぁ。ちょっと腹が立ったその感情を読み取ったんやろう。
桃「怒ってないよ、大丈夫」
赤「ごめんなさい……」
大丈夫の気持ちと、謝れて偉いの気持ちを込めて、優しく頭を撫でてやった。
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作者名:ヨン | 作成日時:2021年12月16日 14時