ちょっと待って聞いてないっ！ 3

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「こっちの方初めて来たけど、
道路一本入るだけで随分静かなんだね？」


「......うん」




......どうしよう。




私さっきから地面しか見てない。




家に帰れるのかな......。




「人通りも結構少ないし、」


「......うん」


「この時期ちょっと心配だなぁ....」


「.....うん」




..........え？




「心配......？」




......やば。




顔上げちゃった......。




「うん。だってこんなに人通り少ないなんて、
夏はいいけど暗いこの時期危険でしょ？笑」




だけど、眩しい笑顔に釘付けで




目を逸らす事が出来なくて。




「......ここは、昔から変な人出ないから、」


「それでも心配。Aちゃん可愛いから。笑」




......何を、おっしゃるんですか？




甘々笑顔王子が降臨してる......。




「......なに言って、」


「Aちゃん、」




急に、王子から笑顔が消えるから




今まで以上に心臓の動きがおかしい。




「......なに？」


「......僕、3人の中で不利な事が
ひとつあるんだけど、」


「不利な事......？」


「.....そう。それなくしたいんだけど、
いいかな......？」



「え....」




いいかな、って言われても




それって、なに......？




ジミンくんは立ち止まると




道路脇のどこかのお宅の塀に、
私を追い詰める。




背中に塀が当たって




もう後ろに下がれないのに




ジミンくんはまだ近付いて来る......。




「.....あの、ジミンくん、」


「いい？........キスしても」


「っ」




......どうしよう。




こんなふうに聞かれたのも初めてだし




心臓が口から飛び出しちゃいそうで......。




「......いい？」




こういう時、なんて答えたらいいの？




その前に、心臓壊れそうなんだけど......！




だって、繋いだ手はそのままだけど




反対の手を塀についてて




もっと近いし、




これ、壁ドンてやつ......。




近すぎるジミンくんに耐えられなくなって




思わずつぶっちゃった目。




......その、2秒か3秒くらい後に





私の唇に“ふに”っと触れた、柔らかいもの。






ジミンくんの、唇......？








......どうしよう。









ジミンくんと、キス......しちゃってる。





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