特別な私の皇帝【野坂悠馬】 (ページ4)

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野坂の計画ページ4

『…私がサッカー部に入る？そんなふざけた話聞かねぇから』

「いや、君にとってはいいんじゃないかな。
宮谷さんは家族がいないでしょ？」

『…！』

なんで、こいつが知ってる？

「家族がいない辛さ、サッカー部に入ればこれからの世界にはなくなるはずだよ」

“家族”。私の家族は、産まれてすぐにいなくなった。最初はどっかの施設かなんかにいたが、10歳からは一人で暮らした…。

『質問。
なんでサッカー部に入れば家族がいない辛さがなくなるんだよ？』

「やれば分かったよ…」

何のことだ？だけど、こんなことを言う野坂の表情はどうも暗く見える。

『なら、サッカー部、見るだけ見てやるよ』

「君ならそう言うと思った」

『そのかわり、まだ入るなんて言ってねぇからな？』

「分かってるさ。でも、君は絶対にサッカー部に入るよ」

決めつけられる理由なんてないはずなのに、確信しているのか…。

『お前、普通のやつらと違っておかしいな』

「おかしくなんかないけどね、

Aちゃん」

『おま、なんで名前で呼ぶんだよ！？』

急に名前呼びっておかしいだろ！？

「これからサッカーをしていくんだから当たり前でしょ？」

『だから入るって言ってねぇんだよ！』

「ふふっ、君は面白いね。
こういうところが僕を好きにさせていってるんだよ」

また野坂は私を引き寄せた。

『そんなことしたって意味ないから』

「僕が好きでやってることさ」

しばらくの間は私も抵抗する気にならなかったからこうしていた。