【テニスの王子様】向日葵はいつも私を見ている (ページ12)

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拾壱輪目ページ12

多分、この学年で幸村さんを知らない人は居ない。

私は、知り合いも少なければ友達も少ない。あまり他人について深追いすることもない。

だけど彼の情報は嫌でも耳に入ってくる。

｢今からお昼なの？｣

幸村さんは私に問いかける

｢あ、そうです。今日は友達が委員会で忙しくて一緒にお昼ご飯食べられないから……。たまには中庭に来て気分転換でもしようかな……と。｣

｢へぇ……。そうなんだ。これから毎日来てくれてもいいんだけどね。｣

｢……？｣

一瞬どういう意味かわからなかった。

｢あの、それって……どういう意……｣

｢あ！！いたいた！こんな所で何やってんだA｣

私の言葉を遮るように聞こえた声の主は丸井くんであった。

｢探したぜよ。A。｣

丸井くんの後ろからひょこっと出てきたのは仁王くん。

｢……ん？幸村くん居んじゃん。それって美化委員の仕事？｣

｢ああ……。そうだよ。なんでブン太と仁王はAの所へ？｣

｢あの二人、"一応"友達なんです。｣

私が幸村さんの質問に答えた。

｢"一応"ってなんじゃ"一応"って……。｣

｢はいはい、冗談だよ冗談。｣

｢ほら、さっさと昼飯食うから、行くぞ。｣

丸井くんは私の腕を掴んで、校舎の方へ向かっていく。

｢ちょっと待ってくれないかい……？渡したいものがあるんだ。｣

幸村さんは私に花束を渡した。

｢……？これ…。｣

｢スノードロップの花。花言葉は"希望"っていうんだ。キミに花の見た目や花言葉もキミにピッタリだと思って……ね？｣

｢……あ、ありがとう。ございます。｣

｢…またね、A。｣

｢え、えっと……ま、たね？幸村さん。｣

｢お腹空いた！！Aのために探し回ってこっちはお腹空いてんだからな！！早く行くぞ！｣

｢行くぜよ、A。｣

なぜか、今日は奇妙な一日に感じた。