【テニスの王子様】向日葵はいつも私を見ている (ページ24)

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弐拾参輪目ページ24

｢別に、このコーヒーゼリーは甘い訳では無い。どちらかと言うと苦いぜよ。食べても問題無い。それに、A、さっきからペンを持つ手がちょくちょく止まってるんじゃ。結局、スイーツが食べたいんじゃろ？｣

仁王くんの言葉一つ一つ、心に刺さっていく。
でも本当に食べていいのだろうか？ここまで甘いものを禁止してきた意味…。でも、あくまで私が禁止しているのは甘いもので、苦いものでは無い。スイーツを禁止している訳では無い。甘いものを禁止しているんだ。
たがら、食べても問題ない…のか？

｢…確かに｣

私の声からポツリと出たの言葉。言おうと思ってなかったけど声が出た。

多分、これが私の本心。

｢…なら決まりぜよ｣

仁王くんは少し笑顔の笑顔を零した。

｢ありがとう仁王くん｣

私は机の上の箱に入っているスプーンを取り出そうとした瞬間、仁王くんはそれを手で遮った。

｢目を瞑るぜよ｣

｢…目？｣

……なんで？

｢イリュージョン…かけちゃるき。｣

仁王くんに言われるがまま、私は目を瞑る

｢おいおい……仁王、お前まさか…。｣

丸井くんの声が聞こえた。丸井くんは何かを察したようだが、仁王くんは何を考えているのかわからない。

｢そんで、次に口を開けるんじゃ。｣

この人何をしようとしてるの。催眠術でもかけるの？それとも私が目を瞑って口を開けてる間にコーヒーについてくる砂糖のスティックぶち込まれるとか……？
それされるなら私が今まで甘いもの禁止にしてきた意味が無くなる……。それだけはまずい。

｢ねぇ……仁王くん、何しようとしてるの？まさか私の口に砂糖のスティックぶち込むとかないよ……｣

｢はい、あーん｣

私の口の中にプルっとした食感の少し苦い味のコーヒーゼリーが入ってきた。

…そう、私はあーんされた。

｢おい仁王……！お前よくもやってくれたな……！！｣

丸井くんはガタッと音を鳴らし立ち上がる。

｢…苦い…けど、美味しい。口の中にコーヒーの味が広がって行く…。まるでゼリー界の宝石箱や…！！｣

｢Aが壊れた！！！｣

あれ？なんで私、あーんされてるの？確かに陽葵にはよくあーんしてたけど…。仁王くんにあーんされた？へ？男女同士のあーんとか恋愛ドラマとか空想の物語じゃなくて……？これ現実……？

｢……。私、何してたんだっけ？？｣

｢……イリュージョン成功じゃな。｣