妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～ (ページ6)

今日:28 hit、昨日:2 hit、合計:33,328 hit

第１.１話　私が何かしたのかな？ページ6

そういえば、姉さんの用事というのはなんだろう。

「姉さん、私に用事って……?」

「……A、今日様子がおかしかったから。
何かあったのかと思ったから、聞いてみようと思ったの」

「……実は私、それに関係のあることについて
聞こうと思っていたんだ」

偶然に偶然が重なって、恐ろしくも感じたが
しかし私にとっては都合がいい。

そうして話を切り出していくと、近くに座っていた、
休み時間に会った気の強そうな女の子が、

優し気な声で話しかけてきた。

「ねぇ、コップの水、こぼしちゃったんだ。
台ぶきんを持ってきてくれない?」

「あ、えと……ちょっと待ってて! すぐ持ってくるから!!」

「あ、Aっ? ……いっちゃったわ。……あら……?」

女の子に話しかけられ、慌てて返した私は
すぐにプレートを置いて駆けて行った。

痛いのは嫌なのだ。

～･～･～

「布巾持ってき……って、あれ? いない……
ねぇ君、私と話していた女の子、どこに行ったか知らない?」

「……さぁ?」

「そう……あ、姉さん。
……なんで怒っているの? 顔が怖いよ……?」

男の子に聞いても、なぜか笑いながら返されるだけ。

後に歩み寄ってきた姉の存在に気がついたが、
今度は怒り顔と来た。

「……A、ちゃんとランチ
全部、持ってきたわよね? ……ないのよ」

「へ? ……あっ! 焼そばがない……!? どこにやったっけ……?」

「もうっ! 何を言ってるの?とられた、しかないでしょう!
私が目を離したスキに、誰が取っていったワケ!?」

と、私のために怒っている。

すっかりご立腹の様子だったが、
それではかえって誰も返事をしてくれやしない。

「姉さん、怒らないで。
また取ってくるから。それに、誰かが取ったなんて。
誰も見ていないのだから、そうと決まったワケじゃないよ」

「……A……っ。そうね。
ごめんね、ちゃんと私が見ていれば……」

「姉さんは悪くないよ! 謝らないで」

そのまま焼そばを取りに行く。
今日は良いことが続かない日だ。

そう思っていた瞬間、なんだかうなじの辺りに
違和感を感じた気がした。

だが、片手をやって確かめてみても、なにもない。

……私は頭をかしげながら、テーブルにもどった。