妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～ (ページ28)

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第１.２３話　妖界ナビゲーターページ28

『あまたの心憂くことをゆるし』

……かまちを、殺すことはできない。

「──かまち、悪行はあなたの中の邪気がしたこと。
だから……。臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前!!

……もう人間世界に来てはだめ。

あなたの邪気を払い清めるから、
そのまま安心して、妖怪の世界、妖界に帰りなさい。

……天蓬、天内、天衝、天輔、天禽、天心、天柱、天任、天英」

繰り返しとなえ、ステップは円を描く。
かまちのうなり声はやみ、穏やかな顔になった。

そして、吸い込まれるように、妖界に帰っていった。

──コトン。

かすかな物音にうつむくと、
そこにはビー玉ほどの大きさの白い玉が落ちていた。

拾い上げると、中から『金』という漢字が浮き出てきた。
これは『きん』と読むか『ごん』と読むか……どちらなのだろう。

首をかしげながらそれをポケットの中にいれた。

「……A、お疲れ様」

「妖界ナビゲーターの誕生だな。
『天高く舞い、あまたの心憂きことをゆるし』
まさに、その通りになった」

許せる心と……、か。

「スネリ、もっけ……私にもワケがわからないの。
ペンダントの文字が読めると思った途端、
自然に言葉が口をついでて、手が勝手に動いて……」

「血よ。父と母から受け継がれた、陰陽師と妖怪の血。
そしてまぎれもなく、Aが伝説の子である証拠」

胸からさがるペンダントの光は、すでに消えていた。