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金曜日。次の授業のために教室を移動する際、トイレに行った友達を待つ私は前方から訪れた白馬くんと顔を合わせていた。
互いに微妙な雰囲気。少し口を尖らせた白馬くんは「よー。」と軽く私に挨拶をしてくれた。こんにちわ、と挨拶は返したけれど、今彼は私を信用してくれているのか否かが分からないから正直やり辛い。
「……光来とのこと、応援してやらないこともない。」
「……ほ、ホントに?」
言い辛そうに彼の口から告げられた言葉に、私の眉間に寄っていたしわがなくなった。こくりと頷いた彼は視線を斜め下に逃がすと、「悪かった。」と小さく、とても小さく伝えてくれた。その言葉が、彼が私を信用してくれたという事実が嬉しくて、笑顔で「いえいえ。」と返す。
そのタイミングで友達がトイレから戻ってきて、目の前に居た2mの白馬くんに驚いた様子を見せた。「え、なんで?」と私に尋ねる友人を宥めるように笑みを返す。
「じゃあまたね、白馬くん。」
「あ、待て。」
お別れしようとしたところで呼び止められて少し驚く。ポケットから何かを取り出した彼がそれを私に差し出した。2枚の紙を受け取ってそこに並ぶ文字を凝視する。
「うちの親が貰ったやつ……うちは誰も行く奴いないからやるよ。光来と行くとこの選択肢程度に思ってればいい。」
「今から光来に渡すつもりだったけどな。」と付け加えた白馬くん。彼がくれた2枚の紙は遊園地のチケットだった。突然の思いがけないプレゼントに私は目を丸くして固まってしまう。じゃーな、と去っていこうとする彼を今度は私が呼び止めた。
「えっ、これ、本当にいいの?」
「いいって言ってるだろ。まあ行くかどうかはお前らで決めろよ。」
「でもこんないいもの……、」
「応援するっつったろ。」
2分ほど前の彼の言葉を思い出して私は黙った。申し訳ない……というよりは、とてもありがたい。背を向けて歩き出した彼に、私は改めて「ありがとう!」と声をかけた。
「A良かったじゃん、白馬くんとの問題も解決して!」
「うん……本当によかった。」
光来くんや昼神くんのお友達を苦手にはなりたくなかったから、彼が私のことを認めてくれて……?表現おかしいかもしれないけど、とにかくよかった。
もらった遊園地のチケットを見つめる。3日後に迫った月曜日のことを思って、私は少し胸が暖かくなった。
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赤兎リエ輔(プロフ) - 檸檬さん» レス遅れちゃってすみません…!初々しさを目指しているので、そう感じていただけているようでとても嬉しいです…!初々しさ全開で頑張ります笑 コメントありがとうございます、これからもよろしくお願い致します〜! (2020年3月30日 21時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - 初々しいの好きです!!!!!!!!!!!! (2020年3月20日 19時) (レス) id: bb7087dd1f (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - なつなつきさん» 謝らないでください〜コメントとってもありがたいです涙 私としてはにやけながら楽しんでいただけているようで嬉しい限りです…! これからもっとにやにやさせられるよう頑張りますので電車での閲覧ご注意くださいっ笑 (2020年3月17日 21時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - lonkuuさん» その甘酸っぱさを目指しているのでそのお言葉が嬉しいです…!!楽しんでいただけているようで何よりです…涙 お褒めの言葉、応援の言葉ありがとうございます。もっと好きになってもらえるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2020年3月17日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
なつなつき(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» またコメントすみません!電車で読むの間違えたぁぁっ。となってます。にやにやが止まりません! (2020年3月17日 11時) (レス) id: 0034c747bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2020年1月19日 1時