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その後も試合は流れ、私も友達も見入ってしまっている間に勝負はついてしまった。結果は星海くんのいる赤チームの勝利。得点の多くは星海くんが獲得したものだった。
分かってはいたけど、この目で見て改めて思う。本当に彼は凄い人なんだ、と。同時にそんな凄い人が自分のことを……その、好きだとか、そういうのがやっぱり信じられなかった。本当に私でいいのかなあ。
試合をした選手たちがダウンに入り、控えの選手たちが片づけを進めていく。私と友達は長く見学していた疲労から同時に伸びをして、「じゃあ帰ろうか。」という運びに。
邪魔にならないように急いで体育館を出たから、星海くんたちに視線をやる暇もなかった。感想は……また明日でもいいかな。そう思いながら体育館を出たところで、友達が突然「あ!」と声を上げた。突然のことに驚いた私に、随分と慌てた様子の彼女は言った。
「どうしよう、教室に明日の課題忘れちゃった……!」
「えぇ〜?うーん、今からなら間に合うかな?」
「い、一緒にとりに行ってくれませんかぁぁ……。」
そそっかしい友達にため息交じりの笑みを向ける。とはいえバレー部の見学に付き合わせたのは私だし、今度は私が彼女に付き合ってあげる番だろう。随分遅い時間になっちゃったし。
職員室に鍵をとりにいって、課題を回収してまた鍵を返して。そうしているとやっぱり多少時間がかかってしまって、私達が校舎を出たとき空はより一層暗くなっているような気がした。体育館の明かりも消えていて、バレー部ももう終わったんだ、なんて考えながら体育館横を通り過ぎた。
校門まで来たところで、またしても友達が「えぇ!?」と驚愕の声を上げる。「今度は何〜?」と呆れ半分に聞いた私に、彼女は心底申し訳なさそうな顔になった。
「A、怒らない……??」
「言ってごらんなさい。」
「ええと、お母さんがこの近くにいるからそっちで合流することになりマシタ。」
それがつまり一緒に帰れないと意味していることは分かった。この暗さの中一人で帰る寂しさと少しの不安もあるけれど、やっぱりこんな時間まで付きあわせたのは自分だ。忘れ物を取りに行くのについていった程度じゃ同等の付き合いにはならない。
「大丈夫だよ。」と私は笑う。ごめんねとひたすら謝りながらいつもの帰り道と反対へ向かった彼女に手を振って、さて一人で帰るかと息をついた。
「え、(人1)さん……?」
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赤兎リエ輔(プロフ) - 檸檬さん» レス遅れちゃってすみません…!初々しさを目指しているので、そう感じていただけているようでとても嬉しいです…!初々しさ全開で頑張ります笑 コメントありがとうございます、これからもよろしくお願い致します〜! (2020年3月30日 21時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - 初々しいの好きです!!!!!!!!!!!! (2020年3月20日 19時) (レス) id: bb7087dd1f (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - なつなつきさん» 謝らないでください〜コメントとってもありがたいです涙 私としてはにやけながら楽しんでいただけているようで嬉しい限りです…! これからもっとにやにやさせられるよう頑張りますので電車での閲覧ご注意くださいっ笑 (2020年3月17日 21時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - lonkuuさん» その甘酸っぱさを目指しているのでそのお言葉が嬉しいです…!!楽しんでいただけているようで何よりです…涙 お褒めの言葉、応援の言葉ありがとうございます。もっと好きになってもらえるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2020年3月17日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
なつなつき(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» またコメントすみません!電車で読むの間違えたぁぁっ。となってます。にやにやが止まりません! (2020年3月17日 11時) (レス) id: 0034c747bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2020年1月19日 1時