【ハイキュー】隣のクラスの星海くん。【星海光来】

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「なんかごめんね。」
「い、いや！別に……。」



昼神くんの提案から半ば強制的に、私と星海くんは2人で岐路を歩いていた。当の昼神くんは「俺今日迎えだから〜。」と手を振って去っていってしまうし。残された私と星海くんは少しの沈黙の後「行くか。」という彼の言葉で歩き出したのだった。

自分のことが好きで、『好きになってもらえるよう努力する』と宣言した相手と2人きり、それはやっぱり気まずくて、緊張して。どくどくとうるさく脈打つ心臓は彼も同じなのだろうか。

無言に耐えかねて、私は話題を探した。何か無いだろうかと考えて、うってつけの話題が合ったと気づく。



「そうだ、バレー！凄かった。」
「！ホントか！」
「うん、凄い迫力で……こう、ドンッ！って。」
「バッって感じもいいだろ！」



星海くんとの会話にうんうんと頷く。バレーの話になると随分雰囲気が変わった彼が何だか面白くて、こちらまで笑顔になった。こうして話していると、やっぱりお互い固まっていた初対面が嘘みたいだ。

それから星海くんがバレーを始めた理由や、中学では補欠だったっていう事、昼神くんとの中学時代のこととか。色々なことを聞いた。少しずつ分かっていく星海光来という人物は、やっぱり何だか凄い。

その気持ちをそのままに伝えれば、彼は「俺の何が凄いんだ？」と不思議そうな顔を見せた。



「星海くんってその……あんまり大きい方じゃないでしょ？でも大きい選手と同等以上に渡り合ってて……それって素直に凄いことだな、って。」



私の言葉にちょっとくすぐったそうにした星海くんは、「そうか。」と空を見上げる。そしてそのまま、ちょっと口角を上げた楽しそうな活き活きとした顔で言った。



「バレーにおいて、小さいことは不利な要因であっても不能の要因じゃあないからな。」



その目に宿った強い意思を感じとって、僅かに鳥肌がたった。あぁ、これが彼の強さの理由なんだ。これが彼のオリジン空想論なんかじゃなく、痛いくらい現実を見た上での発言だ。

中学時代が補欠だったことも含めて、きっと彼にも小さいことを嘆いた日があったと思う。彼のように技術のある人だから尚更"これで身長があれば"なんていわれ飽きているはず。それでも彼はこうして前を向いている。そして小さな巨人と呼ばれるまでになった。



「……星海くんは強いね。」



半ば無意識に出た言葉では合ったけど、それは紛れも無い、私の本心だった。



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