２５７羽 ページ10
・
・
準備が終わり、練習が始まる。まずは対人パスをオーバーとアンダーで100本ずつ、それをペアを変えて3回どおり行うらしい。
Aはまずドリンクの用意に向かった。それが終わったらタオルを持ってきて、更に救急箱の備品点検をしてから選手達の練習を見るのだ。はやくしてはやく見なきゃ、と気持ちが先走る。
「(でもどれも丁寧に、だよね。)」
・
やっと作業を終えたAは、ノートとペンを持つと早速各ペアを見回りはじめた。
「……百沢くん、あんまり手は振らなくていいよ。アンダーは足のクッション性を使えばいいから。工はまだ体硬いから……はやく慣らすのと柔軟しっかり。あともっと膝落とす。」
「は、はい。」
「……おう。」
Aの言葉を誠実に受け止めた百沢と違い、五色はどこか不服そうだ。それは駄目だしへの不満ではない、Aがユースを捨てここへきたことへの不満。Aは小さく「ごめん。」とだけ、五色の横を通り過ぎる際伝えた。
その後もアドバイスをして回るA。この作業はなれているし、自分としても好きだ。そんな彼女を斉藤や穴原は笑いながら見ていた。
「流石、慣れてますね白石。」
「ええ。ホント、うちにあがって欲しかったですよ。」
・
パスが終わり、次はスパイク練習になった。この練習が終われば休憩を挟む。
鷲匠はポジション練習に専念しろというタイプなので、この練習ではセッターはトスのみ。スパイカーはスパイクのみで行う。そして同じように、Aはその様子ノート片手に見る。
「行きます。」
声をかけた国見がボールを黄金川に投げる。黄金川がセットモーションに入り、それを国見へあげるも、ボールは国見の手の上を通過していく。
「あぁ！？」
「っち……。」
顔を青くする黄金川と、心底面倒くさそうに舌打ちをする国見。けれど国見は持ち前の技術でなんとか指先にボールを当てて押し入れてみせた。
「悪いッ！！！」
「いーから。」
そんな会話をする2人に、というより黄金川にAは声をかける。
「黄金川クン、もっと極端に"置く"イメージでいいかな。君は背が高いから、無理に手から放とうとしなくてもいいよ。国見くんはナイスカバー！」
そんなAを横目に、鷲匠はそっと目を伏せた。鷲匠は牛島らほど彼女を重宝していない、それでも評価はしている。だからこそ、ユースを選ぶ可能性が高い中でもここにマネージャーとして誘いをかけたのだ。
・
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 370人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さりあ(プロフ) - 古森くんと佐久早くんの番外編のお話がちょっと見当たらないのですが番外編part2にありますか？？お話がすごい気になります！！ (2021年7月31日 1時) (
レス) id: bfe73c86d0 (このIDを非表示/違反報告)
柿の種梅しそ味(プロフ) - すみません。なんか…話数違いません？なんか重なってる… (2019年12月23日 16時) (レス) id: c64161dde0 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - ざらめ煎餅さん» とーっても嬉しいお言葉ありがとうございます！面白いだなんて畏れ多い…！凄く励みになります…！御期待、応援に添えるよう精一杯頑張らせていただきますので、どうぞこれからもご愛読いただければ幸いです(*´ω｀) (2017年4月2日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - tenipuri3rdさん» やっと続きを更新できます･･･！お待ちいただいてありがとうございました！楽しみにしていただけているようでなによりです(*´ω｀) 恋愛のほうは正直行き当たりばったりですのでなにもかもが未定ですｗそれでもこれからも楽しみにしていただければ幸いです！ (2017年4月2日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
ざらめ煎餅 - すっごく面白いです。更新頑張って下さい(｀_´)ゞ (2017年3月31日 1時) (レス) id: 233c1dd62c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤兎リエ輔
| 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2016年12月23日 21時
