【ハイキュー！！】白鳥から烏へ ＜part６＞

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スパイク練が終わるとサーブ練に移る。その間、Aはビブスの用意やタオルの選択、新しいドリンクの用意とやることが盛りだくさんだった。

全てを終えていざ観察、という時になるとサーブ練は終わっていて、コンビネーションに移っている。少し残念に思ったけれど割り切って、同じようにスパイクの決定率を記したりできていない点を記したり、アドバイスしたりと繰り返す。


隙間無く忙しい、そんな時だった。「チワース！」と、妙に聞き覚えのある陽気な声が響く。



「チワース！」



五色をはじめ白鳥沢の1年だけが挨拶を返し、他の選手たちはぽかんとしている。それはAも同じで、大きく目を見開いてやってきた人物を見つめた。そこにいたのが白鳥沢の3年生達だったからだ。

彼らを凝視していると、天童と目が合った。そして彼もまた驚いた顔で叫ぶ。



「Aちゃん！？」



やばい、と察したときには遅く、瀬見や山形にも「A！？」と大声で名前を再び叫ばれた。体育館にいる者全員からの視線がぐっと突き刺さった。



「……あ、お久しぶりです。」
「いやお久しぶりですじゃないよね！？ユースのほうはどうしたの！？」



天童がこれまた全体に響き渡る声でAに突っ込みを入れた。その瞬間、ことをしらなかった者の間でささやきが起こる。



「ユース！？」
「ユースって全日本ユースだよな……？」
「そんなとこにも召集されてたのかよ。」



はぁ、とあくまで心の中でため息をつく。そんなAだったが、ひときわ突き刺さる視線と悪寒を感じてばっと顔を上げた。案の定、顔を上げた先には牛島の姿がある。その表情は無表情にも呆れているようにも取れた。真意は分からないがおそらく彼は「道を間違えた」とでも言うだろう。


それ自体はAもよく分かっている。彼ら白鳥沢の選手からの推薦を期待を得てユースに召集された。彼らが居なければユースになんて召集されるわけがなかった。


貴重な機会を貰ったにもかかわらずそれを台無しにしたことに罪悪感を感じていないわけではない。ただ自分は間違っていないと思うし、あくまで自分の信念を貫き通したい。

とはいえ、そんなAの考えをおそらく牛島は真っ向から否定することだろう。そう思うと背筋に冷や汗が伝う。中学時代の恐怖に似たものが蘇った。



「練習中だ！！さっさと集合ッ！」



鷲匠の鶴の一声により、選手達は慌てて集合した。



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