259羽 ページ12
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「えー、大変ありがたいことに、白鳥沢3年生とOBの皆さんが練習試合の相手をしてくれることになりました。まずはメンバーとサインを白石中心に自分達で決めてみてください。会話して。」
急に自分の名前が呼ばれてAはびくっと肩を跳ねさせる。駄目だ。完全にあらゆることに敏感になってしまっている。
「翔陽。このゲームの1セット終わるまでにドリンク作っといてね。今回は私手伝えないから大変だろうけど頑張って。タオルはやっとく。」
「お、おう!」
日向と2人で話しているとき、天童が日向の存在に気づいて声を上げた。
「ぬ!?烏野10番ハッケーン!!叩き落としたらァァア!!」
ハイテンション絡まれ、日向は少しだけ嬉しそうな顔をしてから何かを言い返そうとする。
「おれ――」
「あの!」
そんな日向の言葉を光仙学園中3、長松がさえぎった。そして「ドリンク作って貰っていいスか!」と告げる。日向は一瞬固まって、すぐに「ウス!スンマセン!」と頭を下げた。
スクイズを受け取って、少し強張った面持ちで天童と牛島に一礼をし過ぎ去っていく。天童は眉をひそめ、牛島は相も変わらず無表情で日向を見る。
「なにあれ。Aちゃん、どうなってんのォ?」
「……アイツ、馬鹿ですからね。」
それだけ告げて、Aは「失礼します。」と選手達の輪の中に入っていった。
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「A!チームは!」
五色がAに迫る。その目には闘志と、「もう気にしてない」という感情が見られる。少し安堵して選手たちを見渡せば、皆あのウシワカとの試合という事で目をぎらつかせていた。
「そうだな……第1セット目、主力は高校生がいいと思う。中3の子はちょっと待ってね。」
そういうと「ウス!」と中3の選手が返事をする。その中にはAに対する純粋な尊敬の眼差しが含まれていた。そんな視線を気に留めぬままAは続ける。
「このゲームを制するにはまず若先輩を止める必要がある。だから第1セットはブロック重視でいきたい。」
「攻撃はどうするんだ?天童さんいるだろ。」
「そう。だからできることなら平等に行える人がいい。その面で黄金川くんSがいいと思う。あと蛍がMBも。」
「ハ、ハイ!」
「了解。」
Aからの指名に黄金川は歓喜に顔を染めている。月島は冷静に見えてどこかその目は鋭かった。
あれやこれやと選手たちと案を出し合う。ここで自分に出来ることを、精一杯。Aはひとり意気込んだ。
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さりあ(プロフ) - 古森くんと佐久早くんの番外編のお話がちょっと見当たらないのですが番外編part2にありますか??お話がすごい気になります!! (2021年7月31日 1時) (レス) id: bfe73c86d0 (このIDを非表示/違反報告)
柿の種梅しそ味(プロフ) - すみません。なんか…話数違いません?なんか重なってる… (2019年12月23日 16時) (レス) id: c64161dde0 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - ざらめ煎餅さん» とーっても嬉しいお言葉ありがとうございます!面白いだなんて畏れ多い…!凄く励みになります…!御期待、応援に添えるよう精一杯頑張らせていただきますので、どうぞこれからもご愛読いただければ幸いです(*´ω`) (2017年4月2日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - tenipuri3rdさん» やっと続きを更新できます・・・!お待ちいただいてありがとうございました!楽しみにしていただけているようでなによりです(*´ω`) 恋愛のほうは正直行き当たりばったりですのでなにもかもが未定ですwそれでもこれからも楽しみにしていただければ幸いです! (2017年4月2日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
ざらめ煎餅 - すっごく面白いです。更新頑張って下さい(`_´)ゞ (2017年3月31日 1時) (レス) id: 233c1dd62c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2016年12月23日 21時