271羽 ページ24
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名前を呼ばれて振り返ると、そこにはニコニコと笑う宮の姿があった。
「宮さ……じゃない。侑くん。」
「久しぶり。」
なまったひさしぶりを投げた宮。なんだか普通の人より対話するときの距離が近い気がして少し焦ったが一歩引くのも悪い。そう思って踏みとどまったがやはり近い。
けれどそんなことも気にしていないのか、宮は終始ニコニコとしている。
「なんで帰ってきたん?合宿。」
「今日と明日が忙しいから来てほしいと頼まれまして。」
「へぇ……やから今日の練習ほとんどおらんかったんや。」
「まあ。買い出し行ってました。」
「お疲れやなぁ〜。」
宮のようなタイプは苦手ではあるが話しは弾む。まさに黒尾と話しているようだ。「まあ。」と宮に笑顔を向けると、宮は急にきょとんとした表情でAの奥を見つめていた。
疑問に思って振り返ろうとしたが、宮が声を発したために宮のほうを向く。
「もっと話したかったけど、おたくのボディーガードさんが怖いし、今日はこの辺にしとくわ。ほな、またね。」
ひらひら、と手を振って、宮はAの傍を離れた。急すぎて一瞬呆気にとられていたAだったが、背後から声をかけられて我を取り戻す。
「おいA。」
「えっ。あ、あぁ、飛雄。」
不機嫌そうな形相の影山がAの腕を掴む。と驚いたのも一瞬、そのままぐんぐんと引っ張られて前進を余儀なくされた。その勢いのまま体育館の入り口まで手を引かれて、影山がシューズを脱ぎ出したためにAもシューズを脱ぐ。
「飛雄、どうしたの?」
そのときに影山に問うと、影山は「別に。」とそっけなく返した。それが面白くなかったAはじとーっとした目で影山を見てから再び口を開く。
「嫉妬した?」
「はぁ!?」
少しからかっただけであったが、想像以上にいい反応をされたのでからかった自身も驚いた。それと同時に煽り好きの性分に日がついて、若干顔が赤くなって必死な形相の影山にニヤリと目を細める。
「へぇ。侑くんに嫉妬したんだぁ〜。そんなに私と一緒にいたかったの?」
「うっるせえよAボゲェ!!」
影山が赤い顔はそのままにAに突っ込みを入れる。そして後頭部を荒くかいて、「だーっ!」と声を上げてAから顔を背けた。
「いいから飯行くぞッ!」
「あ、ちょ!まってよ!」
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さりあ(プロフ) - 古森くんと佐久早くんの番外編のお話がちょっと見当たらないのですが番外編part2にありますか??お話がすごい気になります!! (2021年7月31日 1時) (レス) id: bfe73c86d0 (このIDを非表示/違反報告)
柿の種梅しそ味(プロフ) - すみません。なんか…話数違いません?なんか重なってる… (2019年12月23日 16時) (レス) id: c64161dde0 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - ざらめ煎餅さん» とーっても嬉しいお言葉ありがとうございます!面白いだなんて畏れ多い…!凄く励みになります…!御期待、応援に添えるよう精一杯頑張らせていただきますので、どうぞこれからもご愛読いただければ幸いです(*´ω`) (2017年4月2日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - tenipuri3rdさん» やっと続きを更新できます・・・!お待ちいただいてありがとうございました!楽しみにしていただけているようでなによりです(*´ω`) 恋愛のほうは正直行き当たりばったりですのでなにもかもが未定ですwそれでもこれからも楽しみにしていただければ幸いです! (2017年4月2日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
ざらめ煎餅 - すっごく面白いです。更新頑張って下さい(`_´)ゞ (2017年3月31日 1時) (レス) id: 233c1dd62c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2016年12月23日 21時