273羽 ページ26
・
・
「じゃあ何で負けんだよ?どんな手使った?誰か若利君止めた?」
「あぁ……。」
「止めてました。」
佐久早の問いかけにAが月島のドシャットや日向のほぼレシーブなブロックを思い出して、まるで数年前のことのようにしみじみと呟く。そして影山が簡潔に事実を答えた。
止めた、と言う言葉に明らかに反応してみせる佐久早。
「そいつ誰。何年。なんてやつ。どこ中、」
「悪いねー!こいつ超ッッッ絶ネガティブなのよ!自分を脅かしそうなヤツが気になってしかたねえの!」
佐久早の言葉をさえぎって、彼の背後から麻呂眉毛の人物が出てきた。古森元也。佐久早と同じ高校のリベロである。彼の言葉に、佐久早は反論する。
「俺はネガティブじゃない。慎重なんだ。」
「大差ないですよ。」
「ほんッとそれだよね!!」
佐久早の言葉に間髪入れずにつっこんだAに大笑いしながら古森が同意した。佐久早はじとっとした死んだ目で「ある。」とだけ返す。
「佐久早さんはまだ本気出してませんよね。」
と、そんな空気の中で影山が急に言った。ぴしっと少し空気が固まる。Aもなに言ってんだこいつ、と影山を凝視した。
「……なんで。」
「なんとなく……イメージより普通だなと思ったんで。」
真顔で佐久早を見据えながらいった影山。古森は「ブフォッ!」と隣で吹き出し、佐久早はあからさまにイラッとしてみせた。
そんな佐久早を見て、「でも」とAが付け加える。
「若干ですけど肩の調子悪いですよね。スパイクの威力そこまでだったので。」
その言葉にまた吹き出した古森が「結構言うじゃん!」と笑う。そしてよくわかったね、と加えた。当の佐久早は「生意気。」と小さく呟いて苛立ちをにじませている。
「白鳥ちゃんのいうとおり、今ちょっと肩の調子が悪い気がするんだよな?まあコイツの場合大体気のせいなんだけど、白鳥ちゃんに言われるってことは若干マジなのかね?まあそういうとこは慎重でいいと思うよ!」
古森がハイテンションに言うと、対照的に低いテンションの佐久早は「風呂。」と呟いてきびすを返した。「もう?」と古森が問うと、静かに答える。
「他のやつの菌が入る前に入る……。」
そんな佐久早をおって、「邪魔したねー!」と古森も立ち去って行った。
・
369人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さりあ(プロフ) - 古森くんと佐久早くんの番外編のお話がちょっと見当たらないのですが番外編part2にありますか??お話がすごい気になります!! (2021年7月31日 1時) (レス) id: bfe73c86d0 (このIDを非表示/違反報告)
柿の種梅しそ味(プロフ) - すみません。なんか…話数違いません?なんか重なってる… (2019年12月23日 16時) (レス) id: c64161dde0 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - ざらめ煎餅さん» とーっても嬉しいお言葉ありがとうございます!面白いだなんて畏れ多い…!凄く励みになります…!御期待、応援に添えるよう精一杯頑張らせていただきますので、どうぞこれからもご愛読いただければ幸いです(*´ω`) (2017年4月2日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - tenipuri3rdさん» やっと続きを更新できます・・・!お待ちいただいてありがとうございました!楽しみにしていただけているようでなによりです(*´ω`) 恋愛のほうは正直行き当たりばったりですのでなにもかもが未定ですwそれでもこれからも楽しみにしていただければ幸いです! (2017年4月2日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
ざらめ煎餅 - すっごく面白いです。更新頑張って下さい(`_´)ゞ (2017年3月31日 1時) (レス) id: 233c1dd62c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2016年12月23日 21時