67話、蘇った怒り ページ18
銃で武装しているとはいえ、彼等はまだ子供。異能力を有している中原以外は、ポートマフィアにとって、赤子同然だった。
「今此処で、最も強大な暴力を持つのは中也くんだ。だがマフィアにとって、暴力は指針の一つに過ぎない」
森は太宰に説いた。ポートマフィアの本質は、あらゆる手段を使って合理性をコントロールすることだ、と。
「どうしてその教訓を僕に教えるの?」
「さて、何故だろうね」
森は笑ってはぐらかす。すると、中原が口を開く。情報を交換しても良い、と。しかし、先にマフィア側の情報を教えることが条件だが。それを了承した森は話し出した。
先代が現れたのはこの半月で三回。そのどれもが擂鉢街で目撃されている。そして、四回目が昨日だった。
「死者は蘇らねぇ」
「私もそう思う。だが、そうも言ってられなくなった」
森がリモコンを操作すると、大きな画面いっぱいに映像が流れた。それは、金庫室の監視カメラの映像だった。すると画面が乱れ、その中央には先代が立っていた。
【わしは蘇った。地獄の業火の中から。何故だか分かるか? 先生。… “怒り”じゃ。奴は怒りを喰らう】
先代は真っ直ぐと此方を見ていた。
【地獄より戻ったわしに、更なる怒りを生み出させる腹づもりじゃ。神の獣。黒き炎のアラハバキ…】
画面が荒く乱れ、先代は黒い炎となって消えた。部屋を覆っていた壁が上がり、青空が覗く。全ての壁が無くなると、一面ガラス張りになった部屋を光が照らした。
「これが先代派に知れたら、組織内の三割が敵に回る。勝っても負けても、ポートマフィアは壊滅だ」
「……擂鉢街がどうやってできたか、知ってるか?」
「あれは大戦末期、原因不明の爆発が起き、その跡地にできた街だ」
「その爆発の原因がアラハバキなんだとよ」
アラハバキとは、伝承上の神の眷属のことだ。しかし、あまりに歴史が古いため、その正体には
噂でしかないが、八年前に捕虜となった海外の兵士が租界にあった軍の施設で拷問を受け、その恨みと怒りからアラハバキを呼び、黒い炎と共に爆発を起こした。その爆発でできたのが、擂鉢街だという。
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雪山(プロフ) - ラムネさん» ものすごい勢いのお褒めの言葉、ありがとございます!これからも頑張ります! (2022年11月22日 21時) (レス) id: e986202370 (このIDを非表示/違反報告)
ラムネ - もうこの作品大好き!!ああああああ!!もうなんなの!歳上なのに部下とか!好き!!そして男主の性格好み過ぎな?もうこの作品神!そしてこの作品生み出した雪山さんはもう神以上!更新頑張ってくださいいいいい! (2022年11月22日 19時) (レス) @page27 id: be178889d7 (このIDを非表示/違反報告)
雪山(プロフ) - Yasi123さん» なんて嬉しいお言葉…!これからも励んでいきます。 (2022年9月15日 20時) (レス) id: e986202370 (このIDを非表示/違反報告)
Yasi123(プロフ) - 最近見させていただいています。とても面白いくてめっちゃ好きです。男主くんのキャラがすごい好きです。頑張ってください (2022年9月14日 22時) (レス) id: ea7056b992 (このIDを非表示/違反報告)
雪山(プロフ) - elliscat810さん» 嬉しくて舞い上がってしまいました。コメントありがとうございます。 (2022年8月30日 14時) (レス) id: e986202370 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪山 | 作成日時:2022年5月20日 17時