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私はにぎやかな街が好き。
北のリリアス(東の関所)とオリオルド(西の関所)はどちらも栄えているし、一番過ごす時間の多かったウォルキトラ(ウィラント城のある街)も城下なだけあっていつも賑やかだった。
人の日々の営みを見ると、なんだか生きてるって強く感じるから。
今日はお忍び(仮)でゼンお兄様とウィスタルの城下へ行く。もちろん何度も行ってはいるけれど、お兄様のほうが勝手を知っているだろうし。
何より一緒に過ごすことも今まで少なかったわけだから……。
その分一緒にいると劣等感を感じてしまったりするんだけど。
兄上とお兄様は私の持っていないものをそれぞれ持っていて、自分のすべきことをいつも探して、見つけている。
私はまだまだ一人前にはなれない。
昔会った研究者は、憧れる人をただ真似るだけではいつまでたってもその人を越えられない、二つ三つ憧れるところを自分でも手に入れられるように目指せば良いと言っていた。
先ほど入ってきた侍女にカーテンを開けてもらうと、眩しい真っ白な朝日が入り込んでくる。
天気がいいわね、雨が降らなくてよかったわ。
「殿下、本日はどちらを着用しますか」
「以前作らせた普段着にするわ、一人で着れるからモーニングティーを用意して」
「はい」
フリルが使われたブラウスを着て、フードがふさ飾りと銀の留め具で取り付けられた深藍のジャケットを羽織る。ジャケットの裾は折り返されていて、腰元より丈が短い。
実は結構お気に入りで各季節に柄や色、刺繍の違うものを作らせている。
前着て行ったらリュウが褒めてくれて嬉しかったのもある……。
下は膝丈の刺しゅう入りスカートとタイツ。この国で一番流通している形かしらね。城下に行ったら庶民向けのそういったお店も見てみたいわ。
髪を適当に結い上げ、朝露を掬ったような淡い青の
つい先日綺麗な銀細工のかんざしとして届けられたソレは、鏡の中で朝日にゆらゆらと揺れていた。
「質がいいわね」
確かめるように指先でつつくと、ティーカップを持った侍女がやさしく微笑む。
「姫様が身に着けているとより」
「あら、口説いたってなにも出ないわよ」
「ふふ、殿下の役目を奪うわけにはいきませんね」
「お兄様はそんな事言わないわよ……今日はエスコートしてくださるんですって、楽しみだわ」
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天泣tenkyu(プロフ) - 黒髪の白雪姫さん» こちらの作品も読んで頂けるとはっ、とても嬉しいですありがとうございます(*^_^*) (2018年2月5日 23時) (
レス) id: 141d644f20 (このIDを非表示/違反報告)
黒髪の白雪姫 - お久しぶりです(〃^ー^〃)この作品にお邪魔します♪凄く面白いです！( ＾ω＾ ) (2018年2月4日 16時) (レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天泣 | 作成日時：2017年11月29日 22時
