投与より1時間後発熱 ページ20
力強いガラク薬室長の言葉に胸を撫で下ろす。この方たちにだったら心から安心して任せられる。
そのまま少し雑談をし、私はリュウが机に調合済みの薬草の包を置くのを眺めていた。
あれが私のからだの中に入って問題を起こすのね……なんだか複雑だわ。
「記録係はリュウに任せますが、私も待機していますのでご心配なさらず」
そうして、侍女が入れた紅茶に毒が注がれるのを見つめる。
ティースプーンでゆっくりと混ぜると、湯気を発するティーカップの中を覗き込んだ。
「姫、私もここに控えていますからご安心を」
「そうね、さっさと終わらせて毒も飼い慣らしましょう」
ふふふと兄上顔負けの冷たい笑みを浮かべる。私まだあの毒を盛った方許していませんわ。
目の前の夕焼けを溶かしたような赤を見つめる。水面の自分と目が合った。
どうせやるしかないと覚悟を決め、カップの中の液体を口に含んだ。
甘くもない、何の変哲もないただの紅茶だった。若干拍子抜けする……。
これだから毒は厄介なのだ。
油断させておいて食らいついてくる。
そのままゆっくりとカップの中身を飲み干すと、気のせいか少し息苦しく、小さく息を漏らした。
気持ちの問題って本当よね。
「では、リュウが付き添いますので」
症状が出るまでガラク薬室長は薬室で仕事を片付けるようだ。
ガレスとリュウ、そして侍女数名が残される。
侍女には追加のお茶を入れてもらって、ガレスとリュウには座ってもらった。
「チェスは出来ますか?」
「はい……」
「症状が出るまでの間それで時間を潰しましょう! 暇だもの」
銀盤のチェス台を持ってきてもらって、白黒の駒をセットする。
よく兄達や母とやったわ。
なかなか手強い相手だけれど、意外と私の勝率の方が高かったりもする。
ガレスが横でハラハラと見守る中、白と黒の駒を互いに進めていく。
+++
投与後一時間が経過した頃。
変化は突然やってきた。
いきなり、ぎゅっと心臓が掴まれるような感覚が走り抜ける。
「……っ」
体勢を崩し、そのまま机に両手をつく。
「ガレスさん、A王女を寝台に」
「ああ」
身体中が熱くて、汗がじっとりと布と肌を貼り付ける。頭を殴られるような感覚。
いやいや待って、これ本当に初回?
かなりきつい。
リュウが
その後急いで部屋の前にいる騎士に毒薬の症状が出たと伝えているのがかすかに聞こえたが、私は痛みにうずくまっていた。
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天泣tenkyu(プロフ) - 黒髪の白雪姫さん» こちらの作品も読んで頂けるとはっ、とても嬉しいですありがとうございます(*^_^*) (2018年2月5日 23時) (レス) id: 141d644f20 (このIDを非表示/違反報告)
黒髪の白雪姫 - お久しぶりです(〃^ー^〃)この作品にお邪魔します♪凄く面白いです!( ^ω^ ) (2018年2月4日 16時) (レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天泣 | 作成日時:2017年11月29日 22時