･ ページ34
｢お前は自分との戦いに勝てたんだ、自分に勝てた自分を信じろ!!｣
夕陽に負けない輝きで力強い言葉を放った円堂に、一星は泣き出してしまいそうなほど嬉しそうに微笑んだ。
そんな中御剣は一星の方にいつの間にか歩み寄っていて、敢えて姿勢を低くして彼を見上げるような姿勢をとり、それに、と続けた。
｢君がいてくれると私の仕事も二分割できて、結構楽なんだけどなー？
……そういうわけで、これまでの行いをお前の中でもきちんと清算する意味でもこれからビシバシこき使うから、覚悟しといてね、一星クン？｣
語尾にハートでも付きそうな甘ったるいワントーン高めの声でそう、悪戯っぽく言った御剣の笑顔はきわめて無邪気そのもので、一星は彼女に釣られて笑みをより深くした。
｢じゃ、お好み焼きでも行くかァー。｣
｢あ？ラーメンだろ。｣
｢カレーは?!!!｣
｢さっき食っただろ……｣
｢おねーさんお好み焼きさんせー。｣
｢御剣お前さっきいいだけ食ってただろ?!!!｣
｢お好み焼きだろ。｣
｢ラーメンだろ!!｣
｢はは…賑やかだね…｣
｢ねーみんなーここ行こうよ、自分で焼けるところ。御剣さんはこの特上サイズ食べたいです!!｣
｢おお!!美味そうだなー!!｣
吉良の言葉を皮切りに一気に騒がしくなったこの空間が心地よくて、自分を取り巻く人達の大きさに触れ、一星はうっかり涙を零しそうになっていた。
それはとても幸せな時間で。この夢が覚めるまで、自分はこの人たちのために力を尽くそう、と密かに心に決めた一星なのであった。
･
｢ところで御剣、最後のアレは一体どうやって……｣
｢ん？あぁ、アレね。なに、特に複雑なことはしてないよ。皆が一星に釘付けになってる隙に日本ゴール側に逆走して、ゴールポストを足場にして、思いっきり"飛んだ"だけだよ。｣
サラッと単純明快、と言った様子で事の真相を告げた御剣に全員唖然としていた。
｢……え、足場にしちゃダメなんて、ルールには明記されてないでしょ。｣
『(違う、そうじゃない……!!!!!)』
その場に居合わせている御剣以外の全員の心の声が満場一致で重なった。
｢なんで一星まで驚いてんだよ、パス出した張本人だろうが。｣
｢いや、俺はただ、"上に思いっきり"ってすれ違いざまに言われただけで……｣
驚くのも無理からぬ話である。何せゴールからゴール……つまりフィールドの端から端までその身一つで縦断したのだから。
｢足の力にはちょいと自信あるからね!!｣
『ちょっとってレベルじゃねえよ!!!!』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 156人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しく思います。楽しみに待ってます。 (2022年2月19日 19時) (
レス) @page50 id: e9f0e4b4b1 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 御剣さん誕生日おめでとうございます！こんなにログイン出来ないの悔しいって思ったの初めてかもしれない…これからもずっとゆきさんと御剣さんを応援しています！！ (2019年6月14日 16時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
Rin?^^*(プロフ) - 御剣さん本当に好きです！この先の展開も予想がつかずいつも楽しみにしています！更新待ってます、頑張って下さい！ (2019年6月9日 21時) (レス) id: ed59144b66 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ろーださん» へァ?!!!!!!!本当ですか……?!!!うちの子が人様のご縁になるとは……!!こちらこそうちの子を出会いのきっかけにして頂いて、ありがとうございます!! (2019年4月19日 17時) (レス) id: 05b431dc35 (このIDを非表示/違反報告)
ろーだ(プロフ) - 聞いてください、ゆきさん！御剣さんの話題で友達ができました！これも、御剣さんの生みの親であるゆきさんのお陰です！！これからも、更新頑張ってください！！！ (2019年4月19日 15時) (レス) id: b040f787bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆき | 作成日時：2019年2月13日 20時
